テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「ショウヘイもベッツもパーで十分」“山本由伸ノーノー未遂”敗戦翌朝…ドジャース打撃コーチが大谷翔平らに送ったメッセージ「やりすぎるな、と」
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byNaoyuki Yanagihara,Justin Edmonds/Getty Images
posted2025/09/15 11:07
「パターポーズ」をした大谷翔平だが、ベーツ打撃コーチが送った“テキストメッセージ”とは
「君たちがやっていることは素晴らしいけど、ゴルフにたとえて考えてほしい。毎ホール、バーディを狙う必要はない。パーで十分なんだ。君たちは凄いんだから、パーを取れば十分だ」
という内容だったという。さらに大谷はこの試合で2発を放ち、ベンチに戻るとベーツコーチに「パーだよ」と笑顔で語りかけ、2発目の後には「今日の分のパーを取ったよ」と冗談っぽく笑ったそうだ。
ヨシが素晴らしい投球をした翌朝に…
記者として、「先を越されてしまった」という気持ちになったのは言うまでもない。試合前にデービス氏がベーツ打撃コーチを取材している様子を見ていたからだ。ただ、このやり取りは非常に興味深く、さらに踏み込んで取材をする必要があると感じ、10日の試合前に改めて複数の日本メディアでベーツ打撃コーチを直撃すると、こう説明してくれた。
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「プロゴルファーは“ホールインワンやイーグルを無理に狙うな、パーを積み重ねろ”とよく言う。つまり忍耐強くプレーして、バーディーやイーグルを無理やり取りにいかず、確実にパーを取ることが大切だという考え方。野球に置き換えると、翔平(大谷)が無理に本塁打を狙う必要はないし、ムーキー(ベッツ)も無理に長打を狙わなくていい。ただ“自分のパー”を取りにいけばいい。すると自然にチャンスが巡ってきて、気づけばホームランや大きな当たりも出る。そういうイメージ」
さらに、山本がオリオールズ戦で9回2死まで無安打無得点投球をしながらサヨナラ負けを喫したことも関係していたという。
「ヨシ(山本)が素晴らしい投球をした翌朝に彼らが無理に“取り返そう”としないように念のため送った。コーチがそういうメッセージを送るのは普通のこと。リーダー格の選手はつい背負い込もうとするので、あらかじめ“やりすぎるな”と伝えておきたかった」
ちなみにベーツ打撃コーチは「ゴルフが好きなんだ。そんなに上手くないけど、ハンディキャップは8とか9」とも言った。ハンディキャップ1桁台は「シングルプレーヤー」と呼ばれ、かなりの実力者。「そんなに上手くない」と恥ずかしそうに謙虚に話す人柄に触れ、同コーチが選手から信頼される理由が少し分かった気がした。〈つづく〉

