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獅子の遺伝子BACK NUMBER
「え、自分?」中日→西武にトレード告げられ「急いで免許更新に…」26歳が振り返る人生の転機「人見知りが激しくて…西川愛也が声をかけてくれた」
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNumber Web
posted2025/09/13 11:07
走塁のスペシャリストとして存在感を見せる西武・髙松
「高松が電話に出ない」電撃トレード秘話
髙松がライオンズに来たのは2023年7月18日、川越誠司との交換トレードだった。
「よく“あの選手、トレードがあるんじゃない?”みたいな噂話を選手間で聞くことはあったんですが、自分はそういう噂も全くなくて、本当に突然でした。『えっ?自分?』みたいな感じでしたね。甲子園での試合後に言われたんですが、オールスター休みに入る前だったので、とりあえず自室に戻って、急いで最低限の荷物を集めて箱に入れたことを覚えています」
とはいえ、意外に冷静な一面もあった。ちょうど運転免許の更新期限が迫っていた髙松は「東京では混雑していてしんどいから名古屋にいるうちに」とすぐに免許センターに向かったという。
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「更新に行ったときはスマホの電源も切っていたので、講習中に中日と西武の編成の方からめっちゃ電話がかかってきていて……。『髙松が電話に出ない』と心配させてしまいました(苦笑)」
「お父さんみたいな存在」荒木コーチの言葉
当然、移籍には寂しさもあった。
「中日の皆さんに挨拶しているときに、涙が出そうになりましたけど必死にこらえましたね。特に荒木さん(雅博・当時の内野守備走塁コーチ)には入団したときから熱心に指導していただいて、自分にとってはお父さんみたいな存在です。最後に『おまえが他のチームから欲しいと言われるような選手になってくれてよかった』と言われました。嬉しかったですね」
最も不安だったのは新しい環境に順応できるかどうかだった。一軍のみならずウエスタン・リーグでも対戦することのなかったチームに行くのが当初は心配だったと語る。
その新天地で髙松に最初に声をかけてくれたのは同じ年の西川愛也だった。中日には西川にとって花咲徳栄高校の同級生である清水達也がいる。
西川愛也が「清水から聞いてるよ」
「西川は『清水から聞いてるよ』って声をかけてくれました。ありがたかったです。自分は人見知りが激しいんです。でも、ライオンズではいろいろな選手が話しかけてくれて、思ったより早く馴染めたのかなぁとは思います。
電車を乗り継いで所沢まで来たのですが驚いたのは途中、乗り換えるときの東京駅や新宿駅の人の多さです。やはり関東は違うな、と……。おそらく気疲れもあったと思うんですけど、トレードでこちらに来て2日目に39度の熱が出て休むことになりましたから(苦笑)」
急な環境の変化で体調を崩したと照れくさそうに振り返った。


