西武・高松渡「ヘッドスライディングの理由」“気合の表れ”じゃない！ リプレー検証時代の“勝てる盗塁術”とは…スペシャリストの準備と思考法 

「気合」ではないヘッドスライディングの理由

　ヘッドスライディングであれば、脚からのスライディングよりも低い体勢のまま塁に到達できる。気合の表れのような印象を受けるヘッドスライディングだが、髙松の場合はしっかりと経験に裏打ちされた理由があるのだ。

「一昨年、二軍で試合に出ているときに、キャッチャーの送球が一塁方向に逸れて、背中にタッチされて盗塁アウトになったんです。そのとき『ヘッドスライディングで、もっと体勢が低かったら、タッチをかわせたんじゃないか』と思ったのがきっかけでした」

　それ以来、ヘッドスライディングを続けている。

試合前に走塁練習する髙松　©Number Web

「心理のメリハリをつけています」

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　投手の癖は多種多様で、盗塁数の記録保持者のなかにはユニフォームのしわや、腕の筋の出具合を見る者もいるのだとか。「僕はまだそこまでは到達できていません」と髙松は語るが、経験を積み、観察眼を磨けばもっと多くの塁を盗むことができる。

「代走に送られたときはとにかく集中することだけを心がけています。場面も場面なんで、緊張もするんですが、代走を送られるとしたら試合の終盤なので、直前まではけっこう気を緩めているというか……。練習などで力を抜くわけじゃなくて、心理的にメリハリをつけていますね」

　リリーフピッチャーのように、試合終盤の局面に備え、ときには周囲の選手と会話をして過ごすなど、リラックスしているという髙松。自身の足を武器に、今シーズンここまでは一軍定着を叶えている。

　しかし、そんな髙松も中日から移籍した当初は、不安が大きかったという。『髙松が電話に出ない』と周囲を騒然とさせた電撃トレードの秘話とは−－。〈つづく〉