獅子の遺伝子BACK NUMBER

西武・高松渡「ヘッドスライディングの理由」“気合の表れ”じゃない! リプレー検証時代の“勝てる盗塁術”とは…スペシャリストの準備と思考法 

text by

市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2025/09/13 11:06

西武・高松渡「ヘッドスライディングの理由」“気合の表れ”じゃない! リプレー検証時代の“勝てる盗塁術”とは…スペシャリストの準備と思考法<Number Web> photograph by JIJI PRESS

その走塁技術はまさに職人技だ

「間違い探し」で投手のクセを…

「小学1年生のときに野球を始めたんですけど、当時の監督が『足が速いから左で打ってみよう』と提案してくれて」と、足の速さを生かせるよう左打ちに転向した。

 とはいえ、天性の脚力だけで盗塁ができるほどプロの世界は甘くない。

「相手ピッチャーの癖を見極めるために映像を何度も見るんですけど、そこで気づくことが多いですね。自分の中では子供たちがよくやる『間違い探し』をしている感じ。牽制のときの動きと、投球のときの動きを見比べて、違うところを楽しく探しています」

ADVERTISEMENT

 一方、大事な場面での代走が多いだけに、失敗した際にはダメージも大きい。どうやって気持ちを切り替えるのか。

「失敗が大前提」という思考法

「自分は盗塁というのは、すべての物事がスムーズに起きたときにはアウトになるものだと考えています。そもそも、成功しない確率の方が高いという前提で取り組んでいるので。大事な場面なので決して仕方なくはないんですけど、それでもアウトのときは『仕方なかった』『向こうのバッテリーが上だった』と思うようにしています」

 成功するのが当たり前ではなく、失敗することを大前提にするのも、盗塁する上で重要だと話す“気持ち”を整えるための思考といっていいだろう。

 もう一つ、髙松がこだわるのがヘッドスライディングだ。

「自分は基本的にヘッドスライディングです。相手選手のタッチのしにくさと、最近ではリプレー検証もあって、回り込んでタッチをかいくぐれば、検証で正しい判定をしてくれる。何より、普通に足からスライディングをすると、どうしても上体は起きている体勢となるので、タッチしようとする相手との距離が近くなります。どんなに速くスライディングしても、それで背中や頭にタッチされてしまう場合が自分は何回かあったので、余裕でセーフではない限りはヘッドスライディングで行くと決めています」

【次ページ】 「気合」ではないヘッドスライディングの理由

BACK 1 2 3 NEXT
#埼玉西武ライオンズ
#西口文也
#高松渡
#中日ドラゴンズ
#荒木雅博
#西川愛也

プロ野球の前後の記事

ページトップ