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“東大合格者数No.1”あの開成高が競泳メドレーリレーで「インターハイ出場」の衝撃…日本屈指の進学校に「奇跡のカルテット」が集った青春ウラ話
text by

別府響Hibiki Beppu
photograph by開成高校水泳部提供
posted2025/09/11 11:03
開成からは史上初となるメドレーリレーでインターハイに出場した4人のスイマーたち。「奇跡のカルテット」はいかにして揃ったのか
塾がある日以外はひたすら競泳に打ち込んだ。それもあって、中学受験に際しても、中出も岡本同様、特に競技を中断することなく直前まで普通に泳いでいたという。
「正直、僕も開成に入るまでは『こんなにスポーツも勉強も頑張っているの、もしかしたら自分だけなんじゃないか』とか思っていたんですけど、入ってみたら全然でした(笑)。滝沢さんも岡本さんも個人で全国大会に出ていたりして……ほんとすごいなぁと」
ちなみに、中出の得意種目は平泳ぎである。
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「中学に入ったばっかりの頃は正直、全国大会とかは考えてもいなかったんです。でも周りの先輩たちが実際に全国に出ているのを目の当たりにして、少しずつ意識が変わっていった。最近は身長が伸びたこともあってか、記録も伸びてきている。いまは来年こそ個人でインターハイに出たいとか、自分のなかでも少しずつそういう欲が出るようになりました」
期せずしてそろった「3種目」
結局、岡本と滝沢は順調に力を伸ばすと、中3時の2023年にはバタフライと自由形でともに全国大会まで出場。中出も全国の舞台には届かなかったものの、そんな先輩の背中を追うことで、2人の翌年に中学を卒業するころには、少しずつ「全国」に現実味が出るところまでレベルアップした。
そうして期せずして、開成高には自由形(滝沢)、バタフライ(岡本)、平泳ぎ(中出)とメドレーリレーに必要な3種目で、全国レベルの選手がそろうことになったのである。
ただ、だからといって都合よくそこに背泳ぎの強者が現れるような学校ではないことは3人ともに理解していた。そのため、滝沢と岡本に続いて中出が高校に進学するタイミングでも、特にリレーでの全国を意識することはなかったという。
だが、そこに「まさかのラストピース」がハマることになる。
<次回へつづく>

