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“東大合格者数No.1”あの開成高が競泳メドレーリレーで「インターハイ出場」の衝撃…日本屈指の進学校に「奇跡のカルテット」が集った青春ウラ話
text by

別府響Hibiki Beppu
photograph by開成高校水泳部提供
posted2025/09/11 11:03
開成からは史上初となるメドレーリレーでインターハイに出場した4人のスイマーたち。「奇跡のカルテット」はいかにして揃ったのか
5年前、開成中に入学した「2人のスイマー」
ことの発端は4年半前の2021年まで遡る。
現在、高校2年生になる滝沢知哉と岡本悠という2人が開成中に入学してきたことだ。彼らはともに小学校時代にジュニアオリンピックで全国大会に出場した経験があった。岡本は当時をこう振り返る。
「自由形とバタフライをやっていて、ギリギリで全国に行けるかどうかくらいのレベルでした。でも、泳ぐのはずっと好きで、スイミングの練習も受験直前まで行っていたんです。受験が終わって、入学後も競泳は続けようとは思っていたんですけど……大学受験とかを考えると、正直中学までしか競泳に打ち込むのは難しいだろうとも思っていました。だから、そこからの3年間はとにかく競泳を頑張るつもりで入学しました」
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一方で、一般的には学業面に重きを置く生徒が多いと考えられる開成の環境を考えれば、スポーツにそれほど重点を置くのは「自分くらいだろう」とも思っていた。開成にも水泳部はあり部員も大勢いるが、部でのメインは「日本泳法」(※武術や水上での生活・移動を目的とした古式泳法の一種)を学ぶことで、主にクラブチームでの練習がベースとなる競泳とは少し趣を異にする。
だからこそ、入学後は全中を目標に、個人でどこまで戦えるのか――そんなことを考えていたという。
ところが、実際に入学してみると、そこで予想外の出会いを迎えることになる。
同学年に滝沢というスイマーがいたのだ。滝沢は小学校時代からジュニアオリンピックで10位に食い込むなど、全国でも上位の選手でもあった。
「ただ5年生の時、コロナ禍のタイミングで全国大会がなくなってしまって。そこでモチベーションがなくなって、競泳は辞めてしまっていたんです。ただ開成に入ってみたら、いい意味ですごく自由な校風で。
こういう環境の中でうまく競泳と勉強を両立できたら、むしろ自分は伸びるだろうなと思って。それでもう一回、泳ぎ始めようかなと軽い気持ちで復帰したんです。そうしたら同級生に岡本みたいな存在がいることも分かって」

