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甲子園の風BACK NUMBER
「国際大会で投手に求められる能力は…」甲子園“決勝進出チーム”からの選出は1人だけ…気になるU-18侍ジャパン「選考基準のナゾ」を追う
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沢井史Fumi Sawai
photograph byJIJI PRESS
posted2025/09/08 11:03
甲子園で決勝に進出したチームからは唯一の代表選出となった沖縄尚学の末吉良丞。国際大会ではどんな選手が求められるのだろうか?
ちなみに早瀬も今夏の甲子園で7回を投げて無四球だった。慣れない国際大会の雰囲気の中で、試合を作れることは絶対条件。前述のイタリア戦のように1点が重たい展開となった時に四死球は命取りとなることもあり、森下のようなタイプの投手は国際大会では必要とされる1人でもある。
打者に関しては、昨年のチームの場合、石塚裕惺(花咲徳栄→巨人)や花田悠月(智辯和歌山→國學院大)のような“大砲タイプ”が比較的多かった。
昨年から変化した打者の「選出傾向」
だが、今年はそういったスケールの大きい大砲タイプより、岡部飛雄馬(敦賀気比)や奥村凌大(横浜)のような小技も使える俊敏性の高い打者が多い。
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昨年は“低反発バット元年”だったとはいえ、木製バットから石塚や花田らのバットからなかなか快音が響かず、大会中盤以降は山畑真南斗(明徳義塾→拓大)のような小柄でも足などを使った打者が攻撃のキーとなっていたからだ。
そのため今年の選考は、足を使える機敏な選手も重要視されている。特に世界には日本ではあまり目にしない様々なタイプの投手がおり、ロングヒットよりも機動力を駆使ししぶとく1点をどうもぎ取れるかを首脳陣は重要視している。
奥村頼人や攻守の柱でもある阿部葉太(横浜)、今夏の甲子園で15打数10安打、打率.667をマークした横山悠(山梨学院)らが長打を期待される中、足もある藤森や為永皓(横浜)らも今後の試合で得点にどう絡んでいくのか大いに楽しみだ。
短期間に慣れない緊張感の中で行われる国際大会。日の丸の重みも感じながら、これから20人の戦士たちがどんな表情を見せ、白球を追っていくのか。連覇の期待もあるが、1球を大事にする日本が誇る“野球”を沖縄の地で思い切り体現してもらいたい。

