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「国際大会で投手に求められる能力は…」甲子園“決勝進出チーム”からの選出は1人だけ…気になるU-18侍ジャパン「選考基準のナゾ」を追う

posted2025/09/08 11:03

 
「国際大会で投手に求められる能力は…」甲子園“決勝進出チーム”からの選出は1人だけ…気になるU-18侍ジャパン「選考基準のナゾ」を追う <Number Web> photograph by JIJI PRESS

甲子園で決勝に進出したチームからは唯一の代表選出となった沖縄尚学の末吉良丞。国際大会ではどんな選手が求められるのだろうか?

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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 8月に大きな盛り上がりを見せた甲子園が終わり、高校野球界は現在、世界を舞台に2年ぶりのU-18ベースボールW杯の真っ最中だ。ここまで好調な戦いを見せる日本代表だが、そのメンバーには意外な顔ぶれも。果たしてその選手選考にはどんな秘話があるのだろうか。《NumberWebレポート全2回の2回目/最初から読む》

 9月5日に2年ぶりとなるU-18ベースボールW杯が開幕。12カ国が集い、世界一をかけた戦いが始まった。

 そんな中で例年、ファンの間で話題になるのが選手選考だ。例えば今年は直前の甲子園で決勝を戦った日大三(東京)と沖縄尚学(沖縄)から末吉良丞(2年)しか選ばれていない。

 なぜ、シンプルに最も評価が高そうな2校からの選出が少ないのだろうか?

最終会議は…甲子園の「準々決勝」頃

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 選考に関する会議は不定期に数度行われているが、夏の甲子園大会中も絞り込みを兼ねた詰めの選考会議が行われる。

 今年は最終的な会議が準々決勝頃だったため、上位進出校に関わらず既に選出された20人はあらかじめ決まっていた。つまり甲子園で優勝したから、準優勝したからという結果に左右されている訳ではないのだ。

 ただ、今年の代表監督を務めるのは小倉全由監督(元日大三監督)だ。

 しかも今夏の甲子園では日大三のナインでも2本塁打を放った田中諒一塁手や、全5試合に登板し準優勝に貢献したエースの近藤優樹投手の躍動も目についた。だが、大会でのチームの結果より、個々の能力を見極めた選考結果だったのかもしれない。

 実は選考の最大のポイントとされるのは、「複数ポジションをこなせるか」である。

 世界大会は約10日という短期間で行われ、尚且つ天候不良などで日程が変則的になることもある。原則、世界大会は日程の順延がなく、雨天等で中止とした試合はダブルヘッダーで試合を敢行することもある。仮に急きょダブルヘッダーで試合をすることになった時に、いかに疲労の少ない投手を準備できるかも勝敗を大きく左右する。

【次ページ】 国際大会で投手に求められるのは…制球力

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