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「張本美和の疑念は当然」タイムアウト問題に早田ひなが釈明「事前に承認を得ていた」なぜルール違反なしでも不公平が生まれた? 浮き彫りになった課題
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/31 17:00
WTT横浜大会、張本美和との2回戦での早田ひな。この試合でのメディカルタイムアウトについて早田本人が言及した
それも含め、早田にルール違反はなかった。
とは言っても、張本美和が疑念を抱くのも自然なことだし、智和の意見も当然のことだろう。早田と協会側とのやりとりなどを知らなかったのだから。
そのため、ルール違反はなくても、両者の間に不公平を生じることとなってしまった。
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不公平になるのを、そしてこのような大きな問題になるのを防ぐために、まずは事前に、張本に対し岡トレーナーがケアに入る可能性があることを説明しておく必要があった。それがなかったために問題化することになり、ルール違反と言われることにもなった。
誹謗中傷も示唆…協会の説明が必要ではなかったか?
ただ、それでも足りないかもしれない。
事前に「ケアに入っても、戦術などのアドバイスはしない」と説明を受けていても、いざ試合の中で目の当たりにすれば、「もしかして、何かアドバイスしているのでは……」と想像してしまうのも無理はないからだ。
そう考えるなら、今回の場合、慣習を守るのではなく解除して、張本も早田もベンチコーチを置くことにしておけば、クリアになり、問題となることはなかったのではないか。
早田はこう綴ってもいる。
「様々なご意見があることは承知しておりますが、今回の件に関して、誹謗中傷のコメントはどうかお控えいただきたく、切にお願い申し上げます」
誹謗中傷があることを示唆しているが、今回、早田が自ら説明したことはどうだったのだろうか。さらなる誹謗中傷が寄せられるリスクを考えれば、早田が矢面に立つ形ではなく、協会側が説明すべきではなかったか。選手を守るためにはそのほうがよかったのではないか。
その点も含め、いくつもの課題が浮き彫りになった出来事であった。
