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「張本美和の疑念は当然」タイムアウト問題に早田ひなが釈明「事前に承認を得ていた」なぜルール違反なしでも不公平が生まれた? 浮き彫りになった課題
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/31 17:00
WTT横浜大会、張本美和との2回戦での早田ひな。この試合でのメディカルタイムアウトについて早田本人が言及した
早田本人が明かした「事前に承認を得ていた」
この一件について、早田はこう綴っている。
「今年7月の試合で、プレー中に骨が動き痛みと共に急にラケットが正しく握れなくなる症状を経験しておりました。このような症状に備え、8月9日(土曜日)の2回戦の試合の前に、万一の際にWTTで新しく制定されたメディカルタイムアウト(MTO)を使用したい旨、また、その際に症状を熟知している所属チームの岡雄介トレーナーに処置(関節や筋肉の調整)を依頼することについて、事前に日本卓球協会のナショナルチーム女子中澤鋭監督に相談し、WTTで新設されたメディカルタイムアウトに加え、テクニカルタイムアウト、ウォーターブレイクについても『問題ない』旨のお返事をいただいておりました」
「目に見える怪我ではなかったため判断が難しいからこそ事前に承認も得ておりました。とは言え、第三者の方々から見て中立性に疑問が生じる可能性があるというご意見はもっともだと感じております。このため、日本選手同士の対戦ではコーチをおかないという不文律の慣習を踏まえ、対戦相手の方に配慮し、日本卓球協会のスタッフにも1名、処置中に立ち会ってもらい、痛みや症状の確認と処置のみが行われ、戦術などのアドバイスがなかったことを確認してもらっておりました」
張本は「早田と協会側のやり取り」を知らなかった
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試合後、さまざまな声が飛び交った。その中には誤解に基づくものもあった。例えば「試合の前からあった怪我によるものでメディカルタイムアウトをとったのはおかしい」という批判もあったという。
だが、試合の前からの怪我や試合中の疲労、けいれんによるメディカルタイムアウトを認めないのは国際卓球連盟(ITTF)のルールだ(だから、例えばITTFのルールに基づくオリンピックでは、このような理由からのメディカルタイムアウトはとれない)。今回はさまざまな国際大会を運営するWTT(World Table Tennis)のルールに則っており、違反していない。WTTが認めるのは、スケジュール過多になっていることへの配慮もあるだろう。いずれにせよ、両者のルールの混同から起きた批判などもみられた。

