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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「僕だけでなく親も不完全燃焼だったので」夏の甲子園を逃したプロ注目球児…身長189cmの帝京146キロ腕、“二刀流左腕ショート”らが沖縄に集結
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2025/08/30 11:04
ジャパンサマーリーグ初日の試合で力投する帝京・黒木大地。プロ注目の球児も参加した
鈴木氏は黒木を立ち上がらせ、骨格を触って肩の可動域を広げるトレーニングをしてみせた。
「これはすごくビビッときました」
トレーニング前後で黒木の体の動きは驚くほど変わった。黒木はこう続ける。
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「知らなかったトレーニング方法を学んで、パフォーマンスを上げていきたいです。この1週間で3回ほど投げると思いますが、高校3年間で練習した成果を出して、一番良いピッチングを見せたいと思います。
プロに行きたい気持ちは変わりません。僕は身長がある(189cm)ので角度のあるまっすぐと、カットボール、スライダーを投げます。フォーシームは『ラプソード』で測ったときは146km/hくらい、試合では143km/hくらいです。カットボールは3ボールからでもストライクが取れます。サマーリーグでは『トラックマン』で計測しましたが、カットボールはちょっとスピードが出ていませんでした。球速を上げてスライダーとの緩急をつけたいと思います。甲子園に行っていれば、サマーキャンプに参加することはなかったわけで、費用を出してくれた両親には感謝しかありません」
クラブチーム所属の“141キロ左腕”二刀流ショート
甲子園からプロへと、一直線の未来を考える選手たちがいる一方で――高校ではなくクラブチームで野球をしている選手も参加している。花村宏太朗だ。
「小学3年で初めてチームに入って、4年生でアメリカに行きました。リトルリーグで2~3週間やって、日本でもリトルリーグでやりました。中学はポニーリーグでいろいろと経験を積ませてもらいました。高校は都立に入ったのですが、野球部には入らなくて一人で練習していたら『クラブリベース』でやらないか、と言われて高1夏からこのクラブで野球をしています」
「クラブリベース」は「大人になっても、本気で野球に挑戦できる場所をつくる」をテーマに誕生した社会人硬式野球クラブチームである。昨年はJABA(日本野球連盟)東京都野球連盟に正式加盟した。
「周りが大人なので意識が高くて、練習も短時間で集中してやっていました。大学を出てまだプロを諦めていない人もいて、人生をかけて練習する人を見てきました。僕自身もプロになりたいと思っていますが、大学はアメリカで野球をやりたいと思います」
――なぜ、このサマーリーグに参加したんですか?

