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「華やかな世界を私に…ありがとう」妻との“食事改革”で28ゴール→日本代表入りに愛息「パパすごいね!」ジャーメイン良30歳一家が得た幸せ
posted2025/08/28 06:01
ジュビロ磐田時代のジャーメイン良。妻との肉体改造でFWとして飛躍し、日本代表の活躍を愛息も誇りに思っているという
text by

ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Etsuo Hara/Getty Images
スラムダンクの桜木が“今の自分に刺さった”ワケ
神奈川県厚木市出身のアスリートとしては、異端児と言えるのかもしれない。"地元"を舞台にしたスポーツマンガの金字塔を読むのがあまりに遅かったのだから。
7月のE-1選手権で得点王とMVPを両方獲得したジャーメイン良だ。30歳で日本代表のユニフォームに初めて袖を通し、香港戦では代表史上95年ぶりとなるデビュー戦4ゴールという記録を残した。
『SLAM DUNK』は神奈川県を舞台にした作品なのだが、不思議と縁がなかった。もちろん、不朽の名作を知らなかったわけではない。ジャーメインは振り返る。
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「『いつかは読むんだろうな』と思いながら、ずっと読んでいないまま大人になってしまい……」
ただ、2023年夏に手にとるきっかけがあった。それが沖縄などで行なわれたバスケW杯だった。あのときの盛り上がりを受けて、当時28歳のジャーメインは重い腰を上げ、『SLAM DUNK』を大人買いした。ジャーメインは言う。
「主人公の桜木花道はバスケの技術はそこまでではないんだけど、身体能力のポテンシャルを活かして、相手を驚かしていくみたいな形ですよね。僕も『ポテンシャルはあるだろうから』と昔は言われていたので……。そうやって(バスケに必要なシュート力などがなくても)周りを驚かしていくところがすごく良いなと。そこが自分に刺さりました」
ジャーメインは流通経済大学付属柏高校時代に、日本一に輝いている。ただ、自身が超高校級の選手だったとは感じたことはない。むしろ、当時のエースだった青木亮太(現北海道コンサドーレ札幌)ら技術に優れたチームメイトを、ハードワークで活かす存在だったと認識している。
だからだろう。流川楓というエースがいるなかで、チームを刺激し、確かな役割をつかんでいく桜木に感情移入できた。
「ポテンシャルがある」という言葉によぎった感情
アメリカ人の父親と日本人の母親との間に生まれたジャーメインは、悪意なく、高校時代の自分に期待をかけてくれた大人たちの言葉をよく覚えている。

