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「華やかな世界を私に…ありがとう」妻との“食事改革”で28ゴール→日本代表入りに愛息「パパすごいね!」ジャーメイン良30歳一家が得た幸せ
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2025/08/28 06:01
ジュビロ磐田時代のジャーメイン良。妻との肉体改造でFWとして飛躍し、日本代表の活躍を愛息も誇りに思っているという
「僕もよく『ポテンシャルがある』と言っていただいて。そう言われること自体は嫌ではなかったですけど、『ポテンシャルがある選手』のまま終わるパターンって、結構あるじゃないですか。だから、『なんとか結果を出さないと』とは思っていましたね」
そうした言葉をかけてくる人に悪意はなくても、多感な時期の選手はやはり何かを感じる。ただ、外野からの声にジャーメインが反発したり、怒りを燃料にすることなく、プロサッカー選手として戦ってこられたのには、いくつか理由がある。
それは自身の周囲にいる人たちからの確かな愛情を感じていたからでもある。また、高校時代は決して足の速いほうではなかったが、ある程度は身体のできあがってきた大学1年生あたりから走る速度が一気に上がる経験をしたこととも関係しているのかもしれない。
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ただ、血のにじむような想いで勝ちとった成果を、自身の努力を見ようともしない人たちから「才能」や「身体能力」として片づけられるときはさすがに悲しかったし、違和感も覚えた。
大器晩成型ジャーメイン、覚醒の秘密とは
ジュビロ磐田での2シーズン目にあたる2023年シーズン。監督が横内昭展に替わり、自身初めて、J1ではなくJ2の舞台を戦うことになった。
それまでのJ1での6年間、リーグ戦では最高でも年間3得点しか決められなかった。それなのに、この年のジャーメインは、J2で9ゴールをあげてJ1昇格に貢献した。さらに2024シーズンには得点王争いを演じ、最終的には日本人最多タイとなる19ゴールを記録するまでになった。
実は横内がチームにやってきたこの2023年シーズンにこそ、大器晩成型フォワードであるジャーメインの驚異的成長の秘密があった。開幕して5試合を戦った時点で負傷。そこからおよそ1カ月半にわたり、戦列を離れることになった。
奇しくも、この時期にジュビロではセンターフォワードに故障者が重なっていた。それもあり、右のアウトサイドで開幕スタメンを飾ったジャーメインは、復帰以降センターフォワードで起用される可能性が高いことを伝えられた。そこでジャーメインは怪我から復帰した後の戦いをイメージし、これを機に肉体改造に取り組むことにした。
体重を増やしたいから食事内容も…いいかな?
最初にその想いを明かした相手は妻だった。
「これから体重を増やしていきたいから、食事内容も変えてほしいんだけど、いいかな?」
スピードには自信を持っていたが、最前線でディフェンダーを背にボールを収めるためには身体を大きくするのが得策だとジャーメインは考えたのだ。
そこでまずは妻が作ってくれた朝昼晩の3食の写真を記録して、それを数日分まとめて栄養士に送付。それを分析してもらい、栄養バランスと身体を大きくするための食事量についてのアドバイスをもらった。同時に、妻には栄養に関する本などを読み漁ってもらい、普段の食事改革を頼むことになった。
これをきっかけに食卓ではわかりやすい変化があった。

