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「眼球に骨が…もう少しで失明ですよ」“日本代表デビュー即5ゴール”30歳FWがホンネ激白「W杯はまだ全然」ジャーメイン良、覚醒の背景に家族愛
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byNumberWeb
posted2025/08/28 06:00
30歳での日本代表初招集ながらE-1選手権で大ブレイクしたジャーメイン良。サンフレッチェ広島の練習場でインタビューに応じてくれた
「怖いという思いを取り除くというより、自分の求めているものへの想いを強くするしかないですね」
話を戻そう。ジャーメインは当時をこう振り返る。
「怖いかどうかよりも、チームのために早く復帰して点を取りたいと、という思いの方が強かったです。もちろん、得点王争いもありましたし。だから怖がらずにやれたのだと思います」
W杯は…まだ全然近づいていないと
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そんな逸話を持つのがジャーメインである。E-1選手権でクロスから得点を量産したのは決して偶然ではない。なお、優勝を飾り、韓国から日本へ帰る際に森保一監督からはこう声をかけられた。
「いっぱい点をとって優勝をさせてくれて、ありがとう」
広島の街はスポーツが日常になっている。広島市の繁華街を歩けば、いたるところでプロ野球の広島カープの選手たちの写真やグッズが目に入る。ただ、それ以外にもサンフレッチェ広島や、昨年Bリーグで日本一に輝いた広島ドラゴンフライズに関する情報や選手の写真がかかげられている。だから、今年から広島に加わったジャーメインは、「頑張ってください」と街中で声をかけられることが多かった。
ただ、あのE-1選手権のあとからは、かけられる言葉がかわってきた。
「日本代表でのゴールすごかったです!」
「得点王、おめでとうございます!」
あの大会の得点王を見返してみると、2013年の柿谷曜一朗、2022年で同時受賞となった相馬勇紀と町野修斗のいずれもW杯メンバーに選ばれている。周囲からは代表の主力になってくれるように期待する声が高まっている。それでもジャーメインは冷静だ。
「30歳で初めて代表に入ることはなかなかないでしょうし、一つひとつ努力してきたことが報われたかなと思います。ただ、来年のW杯について考えると、まだ全然近づいていないと思います。代表の今後の試合に向けては、少しくらいは争いに入っていけるような状態、(W杯メンバー争いの)スタートラインにはどうにか立てたくらいなのかなとは思います」
家族とともに取り組んだプロセスとは
決して楽観することはないし、調子に乗ることもない。ただ、一人のプロアスリートとしてそうした結果を手繰り寄せるにいたったプロセスについては誇りを持っている。その努力は自分だけではなく、家族とともに取り組んだものだからだ。一体、どんな葛藤と出会いのストーリーがその裏にはあったのだろうか――。〈つづく〉

