世界一の選手に「近づいている感覚はある」石川祐希が語る“日本人初のチャンピオンズリーグ優勝”「勝ち続けている選手がナンバーワンだと思います」 

石川　はい、それだけでなく、レセプションの取り方も、足の幅を広くしたり、足からでなく腕からいったりもしてみました。セッターのジャネッリ選手が2mあるので、パスも高くあげないといけないなど、変化は求められました。そこはやるしかありませんでしたね。監督との信頼関係も構築しないといけませんでした。自分のやり方があるから話を聞かないという発想は僕にはないので、とりあえずやってみてそれに合わせようとしました。シーズン後半は安定してきたので、やり続けることは大事なんだと思いました。

　サーブやトスの上げ方を変えることも、プレーオフで負けた後でしたし、「変えてみるか」という軽い感覚でやって、うまくはまったと思います。来季につながればいいなと思っていました。もちろん違和感はありますが、ずっと同じことをしていたら変化もないし停滞していくだけです。変化を取り入れることは自分の成長につながるので、そこはネガティブにはならずにやっていました。

日本人初のチャンピオンズリーグ優勝

福澤　シーズンは残念ながら3位ということで思い描くような結果ではなかったと思いますが、チャンピオンズリーグのファイナルラウンドは全試合スタメンで出て、MVPを獲るなど主力選手として活躍できました。日本人で初めてチャンピオンズリーグ優勝を経験したことはどう受け止めていますか。

チームトップの得点を叩き出し、チャンピオンズリーグ優勝に貢献した石川　©︎Getty Images

ADVERTISEMENT

石川　個人的にチャンピオンズリーグへの思い入れは強い。なぜなら、チャンピオンズリーグは1試合を除いて、予選からほぼ試合に出ているんです。だからファイナルには出たいと思っていました。セメニウク選手が練習で怪我をしてしまい、チームにとっては悲しい出来事でしたが、自分にとっては嬉しいチャンスが巡ってきました。

　試合もシーズンの最後でしたし、今までやってきたことをただ出すだけ、と思って試合に臨んだところ、良い結果につながりました。

表彰式でチームメイトと喜びを分かち合う石川。悲願のチャンピオンズリーグ制覇を達成した　©︎AFLO

「世界ナンバーワン選手」に近づいている感覚

福澤　チャンピオンズリーグ優勝は、選手にとってもクラブにとっても箔がつくタイトルですよね。ずっと石川選手が掲げている「世界ナンバーワンの選手になる」という目標は、10年を経て近づいている感覚はありますか。

石川　近づいている感覚はあります。まだ獲れていないタイトルや、シーズンがある。勝ち続けている選手がナンバーワンだと僕は思います。今回チャンピオンズリーグを獲っても、セリエAでは負けてしまっている。どんな試合でもMVPを獲れるくらい活躍する。そういう欲を出していきたいです。チームが勝つことが一番ですが、その次に自分が活躍することを考えていきたい。コンスタントにいいプレーをするのはなかなか難しいんですが、そこをやり遂げてこそ世界一の選手だと思うので。僕はまだプレーに波がある。タイトルがかかった試合で結果を出せない。実力不足、甘さがあると感じました。まだまだ成長しないといけません。

福澤　バレーボール選手として一番必要な能力は何だと思いますか。

石川　必要な能力……難しいですね。

【続きは動画で見る】このあと石川選手が出した答えとは。動画の完全版では、ターニングポイントとなったミラノ移籍までのストーリーなど、より深く10年の足跡を語っています。貴重なインタビューをお見逃しなく。

人気動画シリーズ Number Volleyball Night 「石川祐希×福澤達哉　バレー選手に一番必要な能力とは？」はこちらからご覧ください