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関田誠大「勝てれば何でもいいです」明かした“サントリー移籍”最大の理由とは?「エース頼みのバレーはあまり面白くない」と語った男はどう融合するか
posted2025/08/01 06:01
サントリーサンバーズ大阪へと移籍した関田誠大はどのような輝きを見せるか?
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
AFLO
東京五輪の2年前、2019年のワールドカップから男子バレーボール日本代表のセッターとして不動の地位を築いてきた関田誠大。そんな男が「日本代表」として活動しない夏を過ごすのは、'17年以来8年ぶりのことである。
今年度も日本代表登録選手44名の中に名を連ねている関田だが、合宿やネーションズリーグを始めとする試合への帯同を見送った。SVリーグの2024-'25シーズン終了直後の5月に、右足関節の手術を敢行し、リハビリを含めたコンディショニングを優先すると決めたからだ。
この先も長く現役を続けるために必要な選択ではあった。だが、理由はそれだけではない。
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「僕にとっては、パリ(五輪)が集大成だったので」
昨夏、男子バレー日本代表はメダル獲得の期待を寄せられて臨んだパリ五輪の準々決勝で、イタリアに敗れた。“集大成”と位置付けた五輪での敗戦。しかも2セットを先取してのマッチポイントから大逆転を喫したことも相まって、勝負に気持ちが向かないのか、と言えばそうではない。むしろ関田はとっくに前を向き、転機を迎えていた。
移籍を決めた最大の理由「長く選手を続けていくうえで…」
6月2日、SVリーグ初年度の覇者であるサントリーサンバーズ大阪は、関田の移籍加入を発表した。高橋藍、小野寺太志など日本代表でも経験を重ねる選手が揃い、昨季は天皇杯も戴冠。世界最高峰のバレーボールリーグ実現を掲げるSVリーグにおいて先頭を走る存在である強豪チームに、日本のセッターとして世界と渡り合ってきた関田が加わる。
ジェイテクトSTINGS愛知から、SVリーグ決勝で苦杯を嘗めさせられた相手への移籍であったことも重なり、ファンの間ではさまざまな憶測も飛び交った。だが、移籍を決めた理由を明かす関田の言葉は、実にシンプルなものだった。
「自分が長く選手を続けていくうえで、環境とか、見極めないといけないこともいろいろありますけど、一番は『勝ちたい』っていうのが大きいですよね」
関田は小学生からバレーボールを始め、小中高と大学、学生時代はすべてのカテゴリーで日本一を経験したエリートだ。175cmの身長は、高さが大きな武器となるバレーボールの世界では弱点になるが、それもマイナスだと感じさせない正確かつ大胆なトスワークや運動量を誇る。
31歳の今も経験を重ね、円熟味どころか進化し続けている選手であるのは周知の事実。だが、意外にもSVリーグの前身、Vリーグ時代から数えても、正セッターとしての優勝経験はない。昨季はベスト6の座もウルフドッグス名古屋の深津英臣に奪われた。
「シンプルに勝ちたいし、セッターとして成長したい。そう考えた時『優勝したい』という思いも強くなった。優勝すれば大きな自信にもつながると思うんです」
