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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「練習のシーンは…まさに地獄だったわ!」なぜ“昭和スポ根アニメ”は異国で愛された? 伝説の女子バレー物語「日本人はみんなミラ・ハヅキの娘よ」
text by

弓削高志Takashi Yuge
photograph byICHI
posted2025/08/29 11:04
アニメ『アタッカーYOU!』に登場する(左から)多岐川絵里、葉月優、早瀬奈美
2002年の初冬、女子セリエAを初めて取材していた頃のことだ。ある選手から突拍子もない質問をされた。
「“NIPPON”ってどういう意味? ミラのユニフォームの胸に書かれてたでしょ。子供の頃からずっと知りたくて」
冷戦時代の欧州の少年少女にとって、ニッポンという言葉の意味すら思いつかないほど極東の島国は遠い存在だったのだと思い知らされた。だが、代表のユニフォームを着たミラは、バレーや青春の素晴らしさをしっかりイタリアや他の欧州の国々に伝えていた。『ミラ・エ・シロ』があったから、バレー王国イタリアの現在がある。イタリア中のバレー関係者は笑顔で肯定してくれるはずだ。
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昨季の女子セリエAでは日本代表セッターの関菜々巳(当時コネリアーノ)と同リベロ福留慧美(当時ミラノ)、OH石川真佑(ノヴァーラ)の3人がプレーオフ進出を果たし、関は日本人女子初のセリエA制覇を成し遂げた。日本の男子スポーツ選手は海外でよく「サムライ」と呼ばれるが、彼女たちは現地バレーファンから「ミラ・ハヅキの娘たち」と呼ばれている。
近年、女王イタリアのライバルとして台頭してきたのは他でもない日本だ。もしかすると、最強の女王を倒すために必要なのは、国民的ブームを後押しする、新しい女子バレーアニメなのではないか。〈全2回/前編から続く〉


