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甲子園優勝、阪神ドラ1でも「自信がなかった」高山俊(32歳)が今明かすタイガースの8年間…阪神を背負うはずだった“天才”に非情な戦力外通告
posted2025/08/27 11:04
明治大学からドラフト1位で阪神に入団した高山俊
text by

谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph by
JIJI PRESS
◆◆◆
「この炎天下で野球ですか? 東京より暑いですから気をつけてくださいね」
新潟・燕三条駅から車で30分ほど。野球場に向かう道中でタクシーの運転手が言った。
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後部座席から降りると、雲ひとつない青空が広がっている。田んぼに囲まれたグラウンドには太陽から逃げる場所がひとつも見当たらない。
阪神タイガースにマジックが点灯した2025年7月、上越新幹線に乗って新潟を目指した。10年前のドラフト1位、高山俊に会うためだった。
朝9時からおよそ2時間の練習をこなした高山は練習着のまま姿を現した。「ひげ剃ってきますね」とすぐに踵を返したが、無精髭が気にならないほどこんがりと日焼けをしている。午後は休みで、我々の取材が終わったらすぐに自宅に帰るという。新潟に来てから野球漬けの毎日を過ごしている。
「こっちは車がないとどこにも行けないんですがあんまり運転が好きじゃなくて。だからほとんど外出してないですね」
高山がプレーするオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブは2024年からプロ野球の二軍、イースタン・リーグに参戦している。BCリーグからNPBファーム専属球団となって1年目に高山も新潟に加わった。新潟には高山のようにNPB返り咲きを目指す選手も少なくないが、チームを構成するほとんどはNPB入りを夢見る20代中盤の選手たち。
「まあ、阪神の最後の方もずっとファームにいて若い選手たちに混ざって野球をしてたので、そんな変化はないというか。いつも刺激をもらっていますよ」
日大三高で夏の甲子園を制覇
高山の野球人生は常に中心を歩んできた。転勤族の父の都合で千葉県に定住したのは小学1年生の頃。本格的に野球を始めた船橋のホワイトビーストロングでは投手から捕手までこなし、千葉ロッテマリーンズジュニアにも選出された。船橋中央シニアを経て、高校は名門・日大三高に進学。1年時から外野でレギュラーの座を掴み、3年時の夏の甲子園では全国制覇の一員になった。

