「大変なところに来てしまった…」あの清原和博がすごい形相で…PL学園“最強世代”が追いかけた“KKの背中”「自分が通用するのか不安だった」 

　清原と同じ部屋になった野村は、清原がバットを抱いて寝るのを見た。

「僕もボールを握って寝たんですが、いつのまにか腰の下にあって、痛くて目が覚めたことがあります」

　寮生活では、1年生が3年生に直接語りかけることは許されない。桑田の部屋子だった立浪は、目の前にいる桑田が同じ3年生たちと交わす会話にじっと聞き耳を立てた。

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「『1年生の夏、朝起きたら、右腕があがらなかった』って桑田さんが話しているのを聞いて驚きました。そんな状態で、あんなピッチングをしてたのかって。あのころの桑田さんと今の自分が同じ立場にいることが、信じられませんでした」

　桑田が早朝、あるいは合同練習後にPLのゴルフ場を一人で走っているのを立浪は何度も見た。片岡は深夜、寮のガラス扉の前で素振りを続ける清原の姿を瞼に焼きつけている。

「あそこまで努力しないと勝てないのか」

　突出した才能を持つ2人が、最後の夏に向けて黙々と汗を流していた。メディアの目が届かない、日常の細やかな息づかいを感じる距離に彼らはいたのだ。

　そして1985年の夏、31期のチームは83年の夏以来の全国優勝を果たした。桑田は通算20勝をあげ、清原は13本のアーチをかけて甲子園を後にした。同じ時代に同じユニフォームを着た2人が、長い高校球史にそれぞれ金字塔を打ちたてたのだ。

「感動しましたが、一方で、あんなに凄い人たちが、あそこまで努力しないと甲子園で勝てないのか。その厳しさも改めて痛感しました」と片岡は言う。

#2に続く

PL学園“最強世代”はいつなのか…清原和博の答えは？ “KKの背中”を追いかけて…後輩たちを一つにした「同級生の死」と「奇跡の試合」秘話