PL学園“最強世代”はいつなのか…清原和博の答えは？ “KKの背中”を追いかけて…後輩たちを一つにした「同級生の死」と「奇跡の試合」秘話

「俺らの時代になるまで、がんばろうな」

　片岡に声をかけたのがいつだったか、橋本に正確な記憶はない。1年生の秋、KK世代より1学年下の32期を中心に、新しいチームがスタートを切ったばかりのころだ。場所が深夜の乾燥室だったこと、足もとにゴキブリが這ってきても、振り払う力さえ残っていなかったこと、2人とも涙を流していたことは覚えている。

「僕は体も大きくて目立ったから、よく先輩から怒られました。どれだけ理不尽な理由で責められても『すみません』と頭を下げるだけ。そんなことが重なって、本気で寮から逃げだそうとしたこともあります」

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　それでも、橋本は耐えた。

「もし、周りに仲間がいなければ、僕はここで折れていたかもしれない。辛い思いを共有しているこの仲間と、甲子園でプレーしたい。その思いが支えでした。だから、片岡にもああいう声をかけたんです」

PL学園卒業後はドラフト1位で巨人に入団した橋本清（2011年撮影）　©Tamon Matsuzono

2年目の春…選抜甲子園1回戦で大敗

　だが、2年生の春、彼らは新たな試練に直面する。

　選抜大会に出場したPL学園は1回戦で浜松商と対戦し、1対8と大敗したのだ。

「なにもできないまま、あっという間に終わってしまった」

　新チームのショートを任された立浪は、初めての甲子園をそう振り返った。橋本や野村、片岡は言葉にできない敗北感と不安に包まれながら、アルプス席から重い腰をあげた。

　桑田と清原がいた時代は、春夏5度の甲子園で優勝2回、準優勝2回という輝かしい結果を残した。周囲はその残像をひきずっていた。初戦で甲子園を去れば、どれだけの失望と批判にさらされるのか。

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＜春夏連覇組の'85年と'87年＞ PL学園 「KKの背中を追え」