甲子園の風BACK NUMBER
「京都国際がオリックスの曲を…なぜ?」「高知中央アルプスが“よさこい会場”に」甲子園で話題“ビックリ応援”に密着…母が息子に絶叫「愛してるー!」
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梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2025/08/19 06:02
写真は共学化で誕生した横浜高校のチアリーディング部。今夏の甲子園、全49校のアルプスを取材した記者の印象に残った応援とは?
日本中の老若男女が知る童謡作品だが、そのまま応援に使うにはゆったりしすぎているため、テンポを160に速めてアレンジ。5回の攻撃でイントロが流れると、野球部も一般客も、皆手を振りながら「ぼくらはみんな 生きている 生きているから 歌うんだ」と一斉に歌い出す。年配客も、小さな子どもたちもみんなが歌え、ナイターのアルプススタンドがパッと明るくあたたかな空気に包まれた。
出場選手が所属していたリトルリーグの子どもたちは、
「保育園で歌ったことある!」
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「この曲野球応援で聞いたことないけど、やってて楽しい!」
と大喜び。誰もが知る童謡を応援曲に使うとは、とてもよいアイデアだなと感じた。
さらに同校は7回の攻撃でよさこい祭りの曲を演奏。高知県民のアイデンティティであり、世代を超えて愛される夏の最大イベント「よさこい祭り」。野球部もチアも鳴子を持ってよさこいを踊り、アルプススタンドが完全によさこい会場と化していた。
『ハイサイおじさん』と指笛響く“唯一無二の応援”
ベスト8では、関東第一(東東京)の名物応援『西部警察』に注目。吹奏楽コンクール全国大会常連時代のOBたちが駆けつけて奏でる、ド迫力の『西部警察』は一聴の価値あり。日大三(西東京)は、甲子園でも珍しい2台体制のドラムに注目。西東京大会では打楽器が禁止されており、神宮でたたけないうっぷんをはらすかのような凄みすら漂う、パワフルなツインドラムは必聴だ。
横浜(神奈川)は、共学になって吹奏楽部にもたくさんの女子が入部したが、不思議なことに、男子校時代の勢いはそのままで、荒々しさが少しだけマイルドになった雰囲気。元気あふれるチアも加わり、力強さに華やかさがプラスされた印象を抱かせる。
沖縄尚学(沖縄)は、尼崎市立尼崎による友情応援。チャンステーマの『ハイサイおじさん』とウチナーンチュによる指笛は、「ザ・沖縄」感満載。他府県とは違う、唯一無二の応援に注目だ。
夏の甲子園もいよいよ準々決勝。応援にも注目して、勝ち残った8校の戦いを堪能したい。

