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野球クロスロードBACK NUMBER
昨年は「もう投げられません」「きついです」だったのに…甲子園“優勝候補の筆頭”で2年生エースが“激変のワケ”は? 監督も「成長している」
posted2025/08/19 11:00
今夏の甲子園で優勝候補の筆頭に挙げられる横浜。2年生エースの織田翔希は3度登板し、未だ無失点投球を続けている
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph by
JIJI PRESS
連日盛り上がりを見せる夏の甲子園。ベスト8が出そろった中で、優勝候補の筆頭と目されるのが横浜だ。その2年生エースとして快投を見せつづける織田翔希。かつての「平成の怪物」とも比較される傑物だが、ここまでの覚醒にはどんな背景があったのだろうか。《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》
異変は、試合の2日前に訪れたのだという。
横浜の主戦ピッチャーである織田翔希が体調不良を訴え、試合前日の練習には参加せず宿舎で静養することとなった。
監督の村田浩明が悩む。8月17日の津田学園戦で織田を投げさせるべきか――。
体調不良の2年生エースは“登板志願”
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「大丈夫です。信じてください」
織田からの登板志願に村田はかなり逡巡したというが、最終的に腹をくくった。
津田学園戦での織田は、体調不良を感じさせないほど淡々と腕を振っていた。最速152キロのストレートは、スピードよりコントロールを意識し内角と外角に投げ分ける。さらに、スライダーやチェンジアップといった変化球でピッチングに緩急をつける。
ピンチになると、視野はより広がる。
例えば7回。レフト前にヒットを打たれ、そこを守る背番号「1」の奥村頼人に向かって両手でマル印を作り、「全然オッケーです」と安心を与える。その後、1死満塁のピンチを迎えるが、内角への143キロのストレートで注文通りのダブルプレーと難を逃れた。

