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投手・大谷翔平は「異次元の完成形へ」「苦戦ドジャースの新戦力」今季もMVP最有力の理由は“手術前より進化”160キロ剛速球だけでない
posted2025/08/18 17:02
投手復帰した大谷翔平。数値的に見てもフォーシームなどで進化が見られる
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
大谷翔平は8月13日のエンゼルス戦、初めて5回のマウンドに立った。ルイス・レンヒーフォから空振り三振を奪ったものの、ローガン・オホッピは中前にゴロで抜ける安打。続くブライス・テオドシオが放った右にふらふらと上がる飛球は、右翼テオスカー・ヘルナンデスが突っ込むことなく安打にしてしまう。
ここでザック・ネトの二塁打が出て、大谷は降板、あと2死に迫っていた今季初勝利はならなかった。5月に股関節を負傷してから、テオスカーの守備力は急激に落ちている。彼が飛球を捕っていたら――と悔やまれる。
フォーシーム平均球速が“100マイル近い”
今季の投手・大谷は、イニング数を増やすたびに失点している。イニングという階段を一歩一歩登っている印象だ。道のりは決して平たんではない。
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しかしながら、MLB公式サイト『Baseball Savant』のコーナーで公開されている「STAT CAST」を見ると、今季の投手・大谷は、かつてないレベルに到達していることがわかる。
まず、フォーシームだ。MLBに挑戦して以降のフォーシームの平均球速と平均回転数。
2018年:155.6km/h 2164rpm
2020年:151.0km/h 2155rpm
2021年:153.8km/h 2218rpm
2022年:156.6km/h 2218rpm
2023年:155.8km/h 2259rpm
2025年:158.0km/h 2435rpm
これまでのフォーシームの平均球速最速は、1度目のトミー・ジョン手術後の2022年の156.6km/hだったが、今季はそれを大きく上回る158km/h。ほとんど100マイル近い球を投げていることになる。
先発限定なら4位…本塁打王争いしているのに
今季MLBのフォーシーム平均球速が、最も速いのはパドレスの救援投手メイソン・ミラーの162.9km/h。大谷翔平は21位とはいえ、上位はほとんど救援投手。先発投手だけに限定すると以下のようになる。
ミジオロウスキー(ブリュワーズ)159.8km/h
グリーン(レッズ)159.8km/h
バーンズ(レッズ)158.4km/h
大谷翔平(ドジャース)158.0km/h
スキーンズ(パイレーツ)158.0km/h
救援投手よりはるかに多くの球数を投げる先発投手では、大谷がMLB4位に食い込んでいる。

