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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「昔はとにかく調べたけど…」広陵高“甲子園出場辞退”で考えるプロスカウトは“チームの不祥事”をどう評価するのか問題「建前の是非じゃなく…」
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/16 11:01
異例の出場辞退となった広島の広陵。かつては独自の調査も行ったというスカウトだが、現代ではその方針もだいぶ変化しているという
そして「昔、不祥事でチームがアウトになりかけた者として言いたいんですが……」と前置きした上で、こんな教示を続けてくださった。
「特にこの時代は不祥事が起こると、メディアやSNSで必ず<被害者>と<加害者>に分けられますよね。そうして被害者が<是>で、加害者が<非>となっていく。ただ、その情報はどこまでが真実なのか。
たとえば暴力事件だったら、手を上げたのが加害者で、手を下されたのが被害者ですよね。もちろん手を上げたのは<非>で決まりですが、正確に誰が、どういう理由で手を上げたのか。そういう部分のホントのトコロは相当、近くにいる人間じゃないと分からない。被害者だという証言も、例えばSNSやウワサ話だけではそれが本当かどうか第三者にはわかりえないんです」
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だからこそ、スカウトとしてはそこもしっかりと精査しなくてはいけないという。
スカウトに必要な「ホントのトコロの理解」
「建前としての是非じゃなくて、本当にあったことの是と非を知らしめなければ、いちばん大事なところが伝わらないんじゃないですか。こんな悲しいことは、なくしていかなきゃいけない。そのためには、事の発端をちゃんと精査して、明らかにして、ホントのトコロを理解しないといけない」
選手を評価する側にとっても、“チームの不祥事”は一筋縄ではいかないものなのだ。

