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「『バカなことをしてるな』という人もいるけど…」甲子園にメジャーのセーブ王が登場?「豊橋中央のイノキ」が見せた“燃える闘魂”だけじゃない実力
posted2025/08/12 17:00
初出場の豊橋中央のエース・高橋大喜地。普段は端正な顔つきだが、ピンチの際にはあの「イノキ」の顔に!?
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph by
JIJI PRESS
「出る前に負けること考えるバカいるかよ!」
高橋大喜地はプロレス界のレジェンド、アントニオ猪木が残した闘魂を胸に刻む。
父・勝由がファンだった影響で、自分も好きになった。普段から動画を見たり、真似をしたりするうちに、マウンド上で気持ちが昂ると自然と“猪木顔”になる。
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「自分も負けると思って投げたことがないんで。絶対に勝つという気持ちです」
東邦など「私学4強」と呼ばれる愛知の強豪を倒して甲子園に行くため、豊橋中央へと進んだ。その高橋が一躍、脚光を浴びることとなったのが夏の愛知大会である。
SNSで話題になった「豊橋中央のイノキ」
準決勝で愛工大名電に勝利し、東邦との決勝ではタイブレークとなった延長11回の末に撃破した。死闘で見せる、まるでアントニオ猪木が憑依したかのような形相が、SNSを中心に話題となった。
私学4強を倒して甲子園に――。サクセスストーリーを体現した豊橋中央の“燃える闘魂”はしかし、甲子園前には猪木顔を「しないかもしれない」と示唆していたという。
甲子園の相手は2度の夏日本一を誇る日大三。この夏も西東京大会でチーム打率3割6分4厘、3本のホームランを記録するように、強打で知られる名門である。
強敵を前に高橋の闘争心が疼く。
1回。相手先頭バッターの松永海斗を143キロのストレートで見逃し三振に切る。すると、松岡翼には自己最速となる146キロのストレートでライトフライに打ち取るなど力を誇示し、無失点に抑えた。
まだ闘魂は内に収めている。だが、「らしさ」は随所に披露する。

