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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「昔はとにかく調べたけど…」広陵高“甲子園出場辞退”で考えるプロスカウトは“チームの不祥事”をどう評価するのか問題「建前の是非じゃなく…」
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/16 11:01
異例の出場辞退となった広島の広陵。かつては独自の調査も行ったというスカウトだが、現代ではその方針もだいぶ変化しているという
スカウトの中にはたとえば春の県大会などあまり目立たない機会に、試合のあとに親御さんと立ち話程度の「ご挨拶」を済ませる方もいる。
「仮にチームに不祥事があっても、直接当人が関わっていないのなら、逆に張本人たちを反面教師にして、自身の身を正す……そっちの効果のほうを期待しますね」
不祥事の近くにいたからこそ…得られた成長も
あるベテランスカウトは、自身の体験を例に挙げて話してくださった。その方はプロ入り前の現役時代に、チームに「あわや出場辞退」の危機があったそうだ。
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「ある事件があって、本当に危なかった。自分にとっては本当に寝耳に水の出来事だったんだけど、そういう時に気付くのは、野球ばっかりやってきた人間にとって、目の前にあった野球がパッと消えて、もうできないかもしれない喪失感は、たまらないということです。
あんな思いは二度としたくないし、後輩たちにもさせちゃいけない。僕自身も周囲でああいう経験があったおかげで、かなりいろいろなことに気を付けるようになった。自分で言うのも変だけど、不祥事は確かに不幸な出来事に違いないですが、それだけに事件そのものに無関係の選手たちにはそういう<成長>を期待できるとは思ってるんです」

