「ポテンシャルからすれば三冠王とトリプル3両方ですわ」阪神・佐藤輝明はなぜ覚醒した？ 大学恩師がゲキ「絶対にタイトルを獲らなアカン」 

　1993年には自らの母校、大阪の強豪・上宮高をセンバツ優勝に導いた甲子園優勝監督でもある。私がサンケイスポーツの野球記者時代、アマチュア野球を担当した1997年からの3年間は、田中が上宮で監督を務めていた時期と重なっていた。

　かつて大阪府議会議員の秘書も務めた経験のある田中は、硬軟織り交ぜての話題が豊富で、取材を忘れてついつい、その会話の方を楽しませてもらうことも多々あった。2020年のドラフト会議前には、佐藤との面談で奈良・生駒の近大合宿所を訪問したソフトバンクのスカウト陣を追って私も取材に出向き、「久しぶりやね」と田中との旧交を温めたものだ。今回の取材申し入れにも快諾の返事をいただいた。

　2023年秋の関西学生リーグでの指揮を最後に近大監督を退任してからも、日本高校野球連盟の技術・振興委員として高校野球の強化、振興のため全国各地を精力的に視察。強豪校の監督たちとも常に連絡を取り合い、現場からの要望も傾聴するその精力的な姿は、ユニホームを着ていた当時と、全く変わらない。

近大監督時代の田中氏（2017年）　©SANKEI SHIMBUN

今年は絶対タイトルを

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　田中は、好調な教え子に、まずは「タイトル奪取」を厳命した。

「今年は絶対、タイトルを獲らなアカンと思いますよ。岡本和真と村上宗隆がおらんからね。ホームランを打てるといったら、あとは牧（秀悟）くらいでしょ？　こういうチャンスをモノにせんと、アイツは“持ってない”ですわ」

　巨人・岡本は、試合中の左肘靱帯損傷で、長くリハビリ調整中。ヤクルト・村上も度重なる上半身のコンディション不良が続き、1軍の本格復帰は7月下旬だった。さらにDeNA・牧秀悟も、8月7日に左手を手術したことで長期の戦線離脱を余儀なくされている。強力なライバルたちが不在の“鬼のいぬ間”に獲れるものは獲っておけ、と言わんばかりの、師の猛ゲキは、それこそ大きな期待の裏返しでもある。

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