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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「慶応って、あれから見ないね」…高校野球“エンジョイ・ベースボール”は敗れたのか? 甲子園での“慶応旋風”から2年…球界に吹いた新風のいま
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安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNaoya Sanuki
posted2025/08/12 11:01
2023年、エンジョイ・ベースボールをスローガンに夏の甲子園を制した慶応高校。一方で、その後は全国の舞台に届かずにいる
準決勝の東海大相模高すら12対1の6回コールドで破って勝ち進んだ横浜高との決勝戦。最終回では、あの「踏んだ、踏まない事件」を乗り越えた強運も味方したのだろうか。
(※「踏んだ、踏まない事件」=2023年夏の神奈川大会決勝で、5-3の横浜高校リードで迎えた9回表、慶応高無死一塁からの遊ゴロを、横浜高のショートの選手が二塁ベースを踏まないまま一塁へ送球したとして、オールセーフと審判が判断。横浜高側は審判に説明を求めたものの判定は覆らず、その直後の逆転3ランで横浜高が敗れ物議を醸した事件)
5年ぶりに出場した夏の甲子園でも、エース・小宅雅己が持ち球のすべてを、低めに丁寧に根気よく集め、凡打の山を築き、俊足快打の丸田湊斗中堅手をリードオフマンに、渡辺千之亮左翼手、延末藍太一塁手、加藤右悟右翼手の強力クリーンアップがここぞの場面で次々とタイムリーを放ち、打線の爆発力を発揮して、あれよあれよの決勝進出。
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センバツのリベンジ戦となった仙台育英との決勝戦も、アルプススタンドから轟きわたる応援歌「若き血」に背中を押されるように、一挙5得点の猛攻で勝負を決め、とうとう107年ぶりの全国制覇を成し遂げたものだ。
「エンジョイ・ベースボール」は敗れたのか?
坊主頭が汗と泥にまみれて白球を追うのが高校野球のはずだった。
ところがそんな暑苦しい姿は、慶応高のモットーである「エンジョイ・ベースボール」の爽やかさには微塵もなかった。結果的に、高校球界には新しい風が吹いた。
それから2年……確かに、慶応高は「甲子園」に現れていない。では、本当に「エンジョイ・ベースボール」は敗れたのだろうか?
ライバル指導者たちに、あの旋風がもたらした“変化”を聞いてみた。
<次回へつづく>

