「秋の姿に戻るのは難しい。でも…」甲子園“優勝候補の一角”東洋大姫路…靭帯損傷“かつての背番号1”が明かす胸の内「もう一度、皆と野球がしたい」 

　阪下が“無双状態”だった昨秋、実はその木下は右肘を負傷し、ベンチから外れていた。だが、今年になると皮肉にも立場が入れ替わった格好となった。

「今度は自分が阪下を甲子園に連れていく――」

　木下は、試合前に自ら発した言葉を現実にしてくれた。

春大会は背番号11を背負っていた木下。夏の兵庫大会は阪下に代わるエースとしてチームをけん引した　©JIJI PRESS

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　木下と阪下は普段から野球以外の話もするほど仲が良く、センバツでも宿舎は同部屋だった。木下は今夏の県大会で4試合、31イニングを投げるなどフル回転。その木下の「負担を少しでも軽くしたい」と、阪下は今も準備に余念がない。一方で、阪下はこんな胸中も吐露していた。

「自分は行けと言われればいけるようにずっと準備はしてきました。ただ、今は秋からフォームが変わったので、秋の姿に戻るというのは難しいと思います。この夏はとにかく自分らしいピッチングをすること。それが一番だと思ってやってきました」

「もう一度チームメイトと野球をやりたい」

　8月1日に行われた甲子園練習では約20分間の練習の最後に、投手陣が甲子園のマウンドを確認した。阪下もマウンドのやや右側から捕手を立たせて1球、その後捕手を座らせ3球を投じた。土の状態をチェックしながら、慎重に腕を振る。

「（センバツ以降の）ここまでは苦しかったです。高校野球をあきらめようと思ったこともありましたけど、木下が自分の代わりに1番をつけて戦っている姿を見て、もう一度チームメイトと野球をやりたいと思いました。苦しい道のりを乗り越えれば絶対にいい景色が見えると思います。今はそのスタートラインに来ていると思います」

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