「秋の姿に戻るのは難しい。でも…」甲子園“優勝候補の一角”東洋大姫路…靭帯損傷“かつての背番号1”が明かす胸の内「もう一度、皆と野球がしたい」 

「ビビッていたら悔いを残して終わることになる」

　県大会後はできるだけケガのリスクを減らすために、キャッチボールで出力を上げての調整を続けている。

「完全に（ケガが）治っている訳ではないので、やれることは限られるんですけど、正直自分の中ではもうちょっとできるというのはあります。でもビビッていたら悔いを残したまま高校野球を終わることになる。試合の中で怖さが消えていけば、アベレージは上がっていくと思います。

　どこまで試合で戻るかは分からないですが、背番号をいただいた以上はチームの戦力としてやるしかないと思っています。投げられない試合はサポートもちゃんとしていきたいですし、戦力にならないと意味がないので」

故障を抱えながら最後の夏に挑む東洋大姫路の阪下　©JIJI PRESS

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　将来有望な右腕だ。先々のことを考えて「治療に専念すれば……」という声が大きくなるのは当然だ。だが、阪下のように「高校野球を全うしたい」と思う球児もいる。できる限りのことをこなし、2年半を共に過ごした仲間と共に高校野球を終えたい。それが阪下の思いだ。

「どうか無理をせずに」と願いつつ、本人が納得のいく形で高校野球を完走するのも、たった一度の人生と考えれば安易に首を横に振れない決断なのかもしれない。

　エースを支えるエース。阪下漣は最後の夏を仲間と“完全燃焼”し、次のステップの糧にするつもりでいる。