「あのとき、せめてコーラを飲んでおけば」松坂大輔がいま明かす甲子園伝説の死闘「横浜vsPL学園 」250球の真相「僕がダメだった一番の理由は…」 

睡眠不足とポテチとコーラ

　寝る前に監督から「睡眠薬を飲むか」と訊かれましたが、そのときは睡眠薬なんて飲んだことなかったし、「大丈夫です」と断りました。でも、やっぱり寝られなかった。僕ら、ホテルでは部屋のドアを開けっぱなしにしておいて、夜中、マネージャーが様子を見て回ることになっていたんですけど、あれは夜中の12時とか1時じゃなかったかな。「えっ、マツ、まだ起きてんの？」って言われて、やっぱり睡眠薬をもらおうとしたんです。でも「監督、寝てるよね」って話になって、あきらめました。たぶん午前2時過ぎにはようやく寝つくことができたと思うんですが、今度は朝の4時半に叩き起こされて、もう最悪です。球場に向かうバスの中であまりに眠すぎて、つい寝てしまって......だから甲子園に着いたときは寝起きの状態でした。ウォームアップでも身体が重たくて重たくて、どうしようもない。試合前の投球練習でも思うように身体が動かなくて、これはヤバいと思いました。

　じつはあの日は眠くてボーッとしていたせいか、試合前のことをほとんど覚えていません。チーム恒例の護国神社へも散歩がてら（必勝祈願に）行っていると思いますし、バスの中ではいつも通り、ポテトチップスを食べながらコーラも飲んでいるんですが、それすら覚えてないんです。えっ、ポテチとコーラですか？ それは今ふうに言えば僕の試合前のルーティンです（笑）。移動のときのリラックスタイムにポテチとコーラは絶対です。朝だろうが昼だろうがそんなの関係ない。試合前のバスでは必ずコカ・コーラを飲みながら、大好きだったのり塩のポテトチップスを一袋、食べていました。いやいや、ほとんどは小袋でしたよ。でも、あのPLとの試合前はポテチとコーラの記憶がないんです。よっぽど眠かったんでしょうね。寝ちゃダメだ、寝ちゃダメだと思いながら寝落ちするという最悪のパターン......あのとき、せめてコーラをガーッと飲んでおけば、目が覚めていたかもしれません（笑）。

球種を読まれたのか？

　だから立ち上がりがどうだったとか、そのあたりのことがおぼろ気なんですよね。とにかく初回から、ストレートも変化球も全部を打たれたという感覚しか残っていません（1回裏は3番の本橋伸一郎をフォアボールで歩かせただけで、上位打線の3人を打ち取ってゼロに抑えている）。

2回裏にPL学園の連打で追加点を許した松坂のもとに集まる横浜ナイン ©︎Asahi Shimbun

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　つるべ打ちされて3点を取られたのは2回裏でしたっけ......あんなふうに連打されて大量点を取られたのは、高校のときはあったとしても一度か二度じゃないかな。PLが僕の速いストレートに絞って対策をしてきたという話は聞いたことがあります。でもストレートに偏らず、変化球も打たれていました。

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