松坂大輔が語る甲子園「横浜vsPL学園」延長17回の激闘秘話「あの感覚はなんだったんですかね。終わるのがもったいないと思っていたのかな」

あの試合がもし第2か第3試合だったら

《序盤の3イニングでPL学園が3点をリードしたものの中盤は横浜が反撃する。4回表に小山が2ランホームラン。その裏、PLが井関雅也のタイムリーで突き放すと、5回表に横浜が松本勉の2点スリーベースヒットで追いついた。立ち上がりに失点を喫した松坂大輔は遅まきながらもようやく目を覚まし、徐々にギアを上げていく。 4−4となった終盤の7回、PLは先発させた背番号10の左腕、稲田学からエースの上重聡へとスイッチした。》

　聡が出てきたのは7回だったかな。試合も終盤に差しかかって、僕もやっとエンジンがかかってきた頃でした。点も取られて、普通だったらもう手遅れですよね。でも、みんなが早い段階で打って追いついてくれたおかげで助かりました。

　改めて思うのは、あの試合がもし第2試合とか第3試合だったら、3安打くらいに抑えて完封していたんじゃないかと......いや、勝ったから言えるんですけどね（笑）。僕にとって朝が早いというのは一番の悪条件なんです。唯一の弱点が朝イチだった。結果的にああいう（延長17回）展開の試合になって、それが名勝負としてみんなの記憶にも残って、しかも勝ったから、それはそれでよかったのかもしれません。ただ僕としてはもっといいピッチングをして、サラッと勝ちたかった。でも、そうならないのが高校野球のおもしろさなんでしょうね。

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　7回裏に1点を取られて、8回表に横浜が追いついて、5−5で延長に入ります。そのあたりからやっと目が覚めて、身体が動くようになってきた。9回を投げ終えたときにはけっこうな球数を投げていたと思いますが（139球）、投げるたびにボールに勢いを感じるようになっていました。

勝ち越しても試合はまだ続くんじゃないかと

　11回表、先頭バッターだった僕はサードへ強い当たりのゴロを打ちます。それが古畑（和彦）の前で大きく跳ねて、レフト前ヒットになりました。（小山）良男の送りバ ントで二塁へ進んで、6番に入っていた柴（武志）のセンター前ヒットでホームへ還ります。

延長11回表、二塁から松坂が生還し横浜は6-5と勝ち越したが…  ©︎Hideki Sugiyama

　これで6−5と勝ち越しましたが、なぜか勝ったとは思えませんでした。（2回戦の）鹿児島実との試合では1点を取ってくれたらそれだけで勝てると思えたのに、PL戦では延長で勝ち越しても試合はまだ続くんじゃないかと感じていました。

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