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「え、これで出んの?」前田健太がヤンキース電撃契約の直前につかんでいた「ゼロヒャク」の感覚…広島時代からの記者だけが知る“復活の兆し”

posted2025/08/06 12:01

 
「え、これで出んの?」前田健太がヤンキース電撃契約の直前につかんでいた「ゼロヒャク」の感覚…広島時代からの記者だけが知る“復活の兆し”<Number Web> photograph by Yuki Yamada

MLB10年目を迎えた前田。今シーズンは試行錯誤の連続だった

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山田結軌

山田結軌Yuki Yamada

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Yuki Yamada

 前田健太投手が8月3日(日本時間4日)、ヤンキースとマイナー契約を結んだ。MLB10年目を迎えた今季は5月にタイガースを事実上の戦力外となり、その後カブスとマイナー契約を結んだが、7月2日に契約を破棄できる権利を行使して自由契約となっていた。37歳となったマエケンの奮闘を、広島カープ時代から取材し続けてきた山田結軌記者が綴った。〈全2回の後編/前編も公開中です〉

「ゼロヒャク」

 それは前田にとって、投球フォームの生命線とも言える感覚だ。そしていつしか、最も大切だったそのフィーリングを失っていた。

“脱力投法”で取り戻した感覚

 カブスでは今シーズン、開幕からリリーフの起用が続いていた。短いイニングで100%を出し切ろうとすれば、全力で投げざるを得ない。その意識は前田の中で不要な力みにつながっていた。

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 マイナー降格後は、先発起用が続いたことで、自然としかるべき投げ方に回帰した。6月4日のオマハ戦では、体を縦に使う意識を持つことに加えて、“脱力投法”で挑んだ。前田が振り返る。

「本当にもう、めっちゃゆっくり投げたんですよ。85マイル(約137km)ぐらいの感覚で投げたら意外と91マイル(約146km)とか出て。え、これで(思った以上に球速が)出んの?みたいな。前まで目いっぱいでもこれぐらいだった。だから力の入れどころって大事なんだなって改めて気づいた。正直、きょう1球目を投げた時に85~86マイルぐらいだったらどうしようと思うぐらいの力感だった」

【次ページ】 「ゼロヒャク」15年前の原点

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