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「イチローと大谷翔平は似てる?」ドジャース36歳野手はなんと答えた? あの衝撃体験から10年「ルーキー時代にイチローと過ごせて幸運だった」
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byAP/AFLO
posted2025/08/04 06:00
2015年から3年間、マーリンズでイチローとチームメイトだったミゲル・ロハス(右)。新人時代にかけられた言葉は、現在もロハスの原動力になっている
彼が言っていた中でもう一つ、印象に残っているのは『準備と努力によって、恐怖や不安、そして他人からの疑念に打ち勝つ』という言葉だ。他人は勝手なことを言うけど、それに打ち勝つ唯一の方法が“努力”なんだ。これもまたすごく心に残ったし、若い選手や若い人たちにも知っておいてほしい。成功に近道なんてない。ただ努力するしかない。ベースボールを長く続けている選手で『楽に成功した』って言う人は誰一人いない。私にとって、イチローと一緒に過ごせたのは本当に幸運だった。2015年にマーリンズが彼と契約してくれて、よかったと心底から思う。
イチローに影響されたからというわけではないけれど、私自身もしっかりとしたルーティンを確立している。ドジャースでプレーしている今でも、ロードでもホームでも、ナイトゲームの際にはだいたい13時〜13時半の間には球場に来るようにしている。他の選手よりは少し早いけど、焦らずに自分の準備をする時間が欲しいし、今でもルーキーのような気持ちで早めにバッティングケージに行っている。
イチローと大谷翔平の共通点
私はドジャースでの自分の立場、役割をちゃんと理解している。チームには他にもベテランや確立された選手がたくさんいるから、彼らのルーティンを邪魔しないように自分のタイミングを見つけるのが大事だ。自分の個性がチームにどうフィットするか、それが大切なんだ。
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ドジャースでは(大谷)翔平ともチームメイトになり、この2年間は彼の日々の過ごし方も見てきた。ちょっとスタイルは違うけど、ルーティンのこなし方という意味ではイチローと翔平にも似ている部分はあるね。イチローは野手として多くのツールを持った選手だったけど、翔平は二刀流だから、投手と打者の両方を準備しないといけない。
去年の翔平はまだリハビリ中だったから、トレーニングルームとウェイトルームで多くの時間を過ごしていた。今年は投手としても準備が必要になっているから、取り組み方はまた変わっている。
でも翔平のすごいところは、どんな状況でも毎日グラウンドに立ちたいという強い気持ちがあること。見た目には常に元気そうだけど、人間だから疲れている日も、気持ちが乗らない日もあるはず。でもそういう姿をまったく見せない。それが本当にすごい。イチローと翔平、タイプは違うけど共通しているのは“ベースボールに対するリスペクト”と“毎日変わらない姿勢”。それが彼らのルーティンであり、本当のプロ意識だと思う。


