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横浜F・マリノス史上最長のキャプテン・喜田拓也が激白! J2降格の危機にどう立ち向かうのか「みんなで乗り越えたときに本当の絆が生まれる」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/08/09 11:03
クラブ史上初のJ2降格の危機に直面している横浜F・マリノスのキャプテン喜田拓也がチームの現状と展望を語った
押し込んだ状態で相手のクリアをGK朴一圭(パク・イルギュ)が回収し、高い位置でパスを受け取って右サイドに出た喜田が寄せてきた相手2人の間を抜くパスからチャンスとなり、ゴール前でフリーとなった宮市亮のヘディングシュートにつなげている。
終盤のF・マリノスは押しまくった。起こしたい現象から得点こそ奪えなかったが、チームが変わるヒントになったことは間違いなかった。
「試合が終わってから(左サイドバックの鈴木)冬一が、『意味が分かりました。こういうことなんですね』と言ってくれて。彼は今年マリノスに入ってきたから、これまでのウチの(ハイラインの)スタイルを実感できていなかった。示せられていなかった僕を含めたみんなの責任でもあるとは思うけれど、そうやって試合の場で共有できたことが大きいなって。ラインに関して言えば、前が(プレスに)行けていないと上げられないし、逆に後ろが上げていないから前も行けない。両方あるから、別にどちらが悪いわけでもない。だからもうそこは絶対にやるという勇気とか覚悟でしかない。せっかく(センターバックを)やらせてもらう場になったから、前にいる選手には後ろを気にせず行ってくれ、危なくなっても何とかするからって背中を押す感じで。蹴られてスペースに走られるのは、やはり怖いですよ。でもそっちのメンタリティにしないんです。勇気を持って前に行かせる、後は何とかする。そのためにしっかりと準備をしておく。そういう思考で、あのときはプレーしていました」
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弱気を一切チラつかせない。体格差で上回る相手のFWに対して体をぶつける際も予測と準備で対応し、決定的なチャンスを与えなかった。勝ち点1にとどまったが、「意識改革」が次の横浜FC戦の勝利へとつながっていた。
「秀夫さんのもと、攻守においてアグレッシブにやる姿勢は大事にしたいということは共有できています。アンジェ(・ポステコグルー)監督から始まったアタッキングフットボールの要素を持ちつつも、はっきりとそこに戻ろうともしていません。勝ち点をしっかり積み上げていかなければならない状況なのでその都度、勝つための最善の判断をしながらみんなで進んでいく。何度も言いますけど、そこはみんなで目線を合わせて」
「みんなで乗り越えたときに本当の絆が…」
喜田は言葉に力を込めた。

