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横浜F・マリノス史上最長のキャプテン・喜田拓也が激白! J2降格の危機にどう立ち向かうのか「みんなで乗り越えたときに本当の絆が生まれる」
posted2025/08/09 11:03
クラブ史上初のJ2降格の危機に直面している横浜F・マリノスのキャプテン喜田拓也がチームの現状と展望を語った
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
噛み合いそうで、なかなか噛み合わない…
降格圏にあえぐ名門・横浜F・マリノスは路頭に迷っていたわけではない。キャプテン喜田拓也はクラブOBである大島秀夫体制のもと、チームの目線と意識を合わそうと奮闘していた。
噛み合いそうで、でもなかなか噛み合わなくて。
アルビレックス新潟、ファジアーノ岡山、FC東京を相手にリーグ戦3連敗、天皇杯を含めれば4連敗で臨んだアウェイでの湘南ベルマーレ戦(6月28日)。カチッとはまる音が、喜田の耳に届いた。
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1―1で迎えた後半25分、センターバックの渡邊泰基が負傷交代となり、この日はベンチスタートだった喜田がそのポジションに入る。本職ではないものの、これまでもソツなくこなしており珍しいことではない。
アウェイとはいえ勝ち点1で終わらせたくはない。降格圏を抜け出すにはどうしても勝ち点3を奪いたい。一方で勝ち点を失ってはいけないことも絶対だ。そう考えると、チャレンジしようにもなかなか踏み出せない。ベンチから見ていても、みんなの気持ちは痛いほどに分かる。でもやらないと、始まるものも始まらない。
本職でないセンターバックで周囲に指示
キャプテンマークを受け取って最終ラインに入った身長170cmのセンターバックは周りに声を掛けながらラインをプッシュアップするとともに、相手を捕らえるために前に向かわせ、誰がカバーに回るか絶えず指示を送った。
「センターバックで呼ばれることは想定していなかったです。でも、そこで後ろのポジションであれば、勇気を持ってみんなを前に行かせることができる。誰がどうポジションを取っていくのか、その声を徹底して出していこうと考えていました。ラインアップしてコンパクトに戦えたら、ボールを拾えて、押し込める。クリアされても回収してまた攻撃できるという現象が起こる。僕が入るなら、ここをメッセージとして送りたかった」
うるさいくらいにしゃべって、指示を出して。喜田に背中を押され、周りも前に出ていくようになる。受け身にならず、かつ、ゴールへのチャンスをうかがっていく。
チームが変わるヒント
目に見える形で効果が表れたのが、後半40分のシーンである。

