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野球善哉BACK NUMBER
大阪桐蔭はなぜ「またも」負けたのか!? 現地で見えた新スタイルの“迫力不足”…リードしても「まだいける、桐蔭倒せるやんと相手に思われて…」
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/07/28 17:25
昨夏の甲子園での完封負けから雪辱を期して新スタイルを磨いてきた大阪桐蔭だが、甲子園出場を逃してしまった
「負けた試合だけじゃなくて(低反発バットの影響によって)ホームランが出ないというのは正直、戦う上でしんどさがありました。小技を駆使して1~2点を取って、その後に(長打で)追加点を挙げてきたチームでしたから。それが取れなくて、まだまだいける、桐蔭倒せるやんと相手に思われて、じわじわと追い上げられるという試合が多くなっていた」
試合の流れでいえば、主導権を引き寄せられそうになったときに、相手の戦意を喪失させるような一打が出なくなったことが、大阪桐蔭打線から迫力を感じさせなくなっていたのだ。
それは昨夏以降も続いた。昨秋は大阪大会決勝で履正社に負け、近畿大会1回戦で滋賀学園に敗退。2021年から神宮大会近畿地区大会を3連覇したチームは、センバツ出場を逃して長い冬を過ごしたのだった。
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もちろん、名将・西谷浩一監督はそこからチームを作り直した。
新生チームのめざした方向とは
西谷監督はいう。
「センバツに出られないことからの負け惜しみの一言ではあるんですけど、夏に絞ってチームを作ることはできたと思う。春出られないんで、その時間を有効に使ってきた」
バッティングに関しては、かつてのような大きな打球を狙うのではなく、低くて強い打球を目指した。チャンスで打ち上げてしまうような打撃から、スタイルを一新してきたのだ。
そうして春の大阪大会を制覇。近畿大会では東洋大姫路に敗れたものの、秋に自信をつかんでこなかったチームにしてみれば春の成果は大きな意味があった。「6月の練習試合でも内容は良かったし、いい状態になった」。橋本コーチは昨夏の悔しさからチームの変化を感じていたと話す。
そして迎えたこの夏。順当に大勝を重ねてきたが、勝負が本格化する準々決勝の大阪偕成戦は昨夏を思い出させるような打線の不調ぶり。ここぞの場面で打球が相手の正面をつくなどタイムリー欠乏症に苦しみ、最後は9回裏、1死満塁からのスクイズでなんとかサヨナラ勝ちを拾った。
ライバル相手の準決勝
準決勝戦の相手は最大のライバル履正社。だが、ここで持ち前の打棒が爆発した。

