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大阪桐蔭はなぜ「またも」負けたのか!? 現地で見えた新スタイルの“迫力不足”…リードしても「まだいける、桐蔭倒せるやんと相手に思われて…」 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2025/07/28 17:25

大阪桐蔭はなぜ「またも」負けたのか!? 現地で見えた新スタイルの“迫力不足”…リードしても「まだいける、桐蔭倒せるやんと相手に思われて…」<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

昨夏の甲子園での完封負けから雪辱を期して新スタイルを磨いてきた大阪桐蔭だが、甲子園出場を逃してしまった

 3回に下位打線のチャンスメークから2番須貝蒼の中前適時打で1点を先制すると、4回には1死一、三塁から中野大虎の犠飛と黒川虎雅の右翼前適時打で2得点。さらに1番・宮本楽久が走者一掃の適時三塁打でこの回4得点。1~2点ではなく大量点を奪った。かつてのような豪快な本塁打はないものの、外野の間を抜いた宮本の長打は大阪桐蔭の新しい打線の強さを見せるような打球だった。

 結局、12安打を浴びせて8-1で7回コールド勝ち。現チームでは1勝1敗と星を分け合ってきたライバルの履正社に完勝して、甲子園出場へ王手をかけていたのだった。

 打線ばかりが目立ったわけではない。投手を中心としたディフェンスの堅さも見逃せなかった。昨年から主戦格の中野、森陽樹を擁して相手打線を封じる。ミスのない守備は洗練されていた。この日は相手の履正社がミスから崩れていたのに対して、付け入る隙を与えない戦いぶりも見事だった。

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 準々決勝は僅差でも守りは危なげなかったし、準決勝は完璧な試合運び。今年の大阪桐蔭はそうして守って勝ち上がっていく。そんなイメージさえ湧いたものだった。

決勝はまたも打線が苦しむ

 ところが、決勝戦はまたも打線が苦しんだ。先に2点を先制される苦しい展開だったことも影響しただろう。「相手の先制点は先発の川崎(龍輝)くんだった。あれでいいリズムに乗せてしまって、こっちは余裕を無くしてしまった」という中野の言葉にそれが集約されていた。

 5回裏、1番の宮本が快音を響かせたが、中堅への飛球に終わる。6回裏にも、4番の吉野颯真が大きな飛球を放ったが右翼フェンス前で失速。嫌な予感が漂った。

 7回裏に相手投手の四死球絡みで4得点。スコアだけなら猛反撃に見えるが、内容は三塁への力のない内野安打が3本。同点に追いついても、チームが勢いに乗れなかったのは快心の打球が出なかったためだ。

【次ページ】 「やってきたことは間違っていない」

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