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野球善哉BACK NUMBER
大阪桐蔭はなぜ「またも」負けたのか!? 現地で見えた新スタイルの“迫力不足”…リードしても「まだいける、桐蔭倒せるやんと相手に思われて…」
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/07/28 17:25
昨夏の甲子園での完封負けから雪辱を期して新スタイルを磨いてきた大阪桐蔭だが、甲子園出場を逃してしまった
延長タイブレークにもつれると、10回表に東大阪大柏原が2得点を挙げたところ、その裏、大阪桐蔭は1点にとどまり万事休す。最後の打者、本田翔輝の打球は低い打球を意識したが力のないセカンドゴロに終わったのが、なんとも印象的だった。
「やってきたことは間違っていない」
1年間、強打を作り直してきたはずの打線は、またも火を吹かなかった。準決勝戦が見事な勝利だっただけに、信じられない負け方ではある。
「なかなか苦しい展開になったんですけど、こういう試合を追いつけるようにチームとしてやってきた。勝たないといけないゲームだった。選手は接戦に持ち込んでくれたけど、監督が上手くできなかった。それに尽きると思います」
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西谷監督は敗戦の責任を背負うコメントを残したが、5安打に終わったことは衝撃だっただろう。橋本コーチも悔しさを滲ませた。
「力は出し切れたと思います。勝ち切る強さを持たないといけないと思います。低反発バットの影響は、選手たちは入学してきた時から練習していますので、それは関係ないです。やってきたことは間違いじゃないと思います。でも、悔しいですね」
王者の進むべき道とは?
大阪桐蔭が春も夏も甲子園に出場できなかったのは2019年以来になる(コロナ禍の中止は除く)。昨夏の敗戦から厳しい冬を乗り越えてきても、勝てなかった。「低くて強い打球」を目指してきた大阪桐蔭の新たな野球は、間違いではなかったかもしれない。ただ、そもそも大阪桐蔭に入学してくる選手たちが目指すスタイルとして、それが合っていたのかどうか。決勝戦で宮本、吉野が残した快音の打球を見ると、もっと、彼らの力を伸ばすことを追求しても良かったのかもしれない。
昨夏の敗戦から看板たる打撃スタイルを変えてもなお、甲子園を逃してしまった大阪桐蔭が新たに進むべきは果たしてどの道になるのか。
それほど複雑なところに迷い込んだ。そんな大阪桐蔭の王者陥落劇だった。
〈つづく〉

