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24歳河村勇輝にとってNBAシカゴ・ブルズは“最適の環境”か「ガードが過剰なほど多い」のになぜ熱烈オファー? 時代と逆行する小さなガードの挑戦
text by

宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGarrett Ellwood/NBAE via Getty Images
posted2025/07/25 11:03
NBAサマーリーグでアピールに成功し、見事、シカゴ・ブルズとツーウェイ契約を結んだ河村勇輝(24歳)
ブルズは、河村にとっては思い入れがあるチームだ。父が90年代のブルズ、そしてマイケル・ジョーダンの大ファンで、河村も父の影響を受けてジョーダン・ファンとして育った。
サマーリーグ初戦後にもこう言っていた。
「昔からマイケル・ジョーダンのファンではありますし、そのオーガナイゼーション(組織)に入れたことはすごく光栄なこと。それに恥じぬようしっかりいいプレーをして、ファンの皆さんの期待に応えたい」
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そんな河村は、アメリカに渡るにあたって、英語の勉強のためにネットフリックスで『ラストダンス』を見ていた。ジョーダンのブルズでの最後のシーズンとなった1997-98シーズンを追いかけたドキュメンタリーだ。2001年生まれの河村にとっては、生まれるより前の時代のこと。当然、河村はリアルタイムでジョーダンのブルズユニフォーム姿を見てきたわけではないのだが、それでも河村にとってのブルズはジョーダンのチームだった。
元シカゴ住民からのアドバイス
サマーリーグ最終戦の後、まだ契約が発表される前にはこうも言っていた。
「昔からブルズのマイケル・ジョーダンのビデオをよく見ていましたし、すごく愛着があるというか、すごく伝統のあるチームだなと思っているので、その一員になれたらいいなと思っています」
その一方で、実は、彼はジョーダンにとって天敵だったバッドボーイズ時代のデトロイト・ピストンズのファンでもあるのだという。80年代終盤に連覇したバッドボーイズも90年代に6回優勝したブルズも、リアルタイムではなく後から追いかけて、そのプレーでファンになったのだから、当時のブルズ・ファンのような、バッドボーイズに対する忌避感はまったくない。
「(当時のピストンズで活躍したガードの)アイザイア・トーマスとかジョー・デューマースが好きです」とあっけらかんと言う。
確かにガードがスターとして牽引していた当時のピストンズに魅かれる気持ちはわからなくはないのだが、ひとつ、元シカゴ住民としてアドバイスすると、シカゴでは、バッドボーイズのファンであることは口にしないほうがいい。


