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24歳河村勇輝にとってNBAシカゴ・ブルズは“最適の環境”か「ガードが過剰なほど多い」のになぜ熱烈オファー? 時代と逆行する小さなガードの挑戦
posted2025/07/25 11:03
NBAサマーリーグでアピールに成功し、見事、シカゴ・ブルズとツーウェイ契約を結んだ河村勇輝(24歳)
text by

宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Garrett Ellwood/NBAE via Getty Images
ブルズ番記者も想定外だった?
7月11日、ラスベガスで行われたNBAサマーリーグの初戦後、シカゴ・ブルズの番記者からサマーリーグの目標を聞かれた河村勇輝は、「自分はNBAでプレーできると信じている。だから目標はNBAの契約を取ることです」と、きっぱり言った。
その8日後の19日にはブルズとツーウェイ契約を交わしたのだが、実は、11日の時点ではブルズのツーウェイ契約の3枠はすべて埋まっており、本契約のロスターも河村と同じガードの選手があふれていた。ツーウェイ契約でも本契約でも、ブルズのロスターに割って入ることは難しそうに見えた。
同じ頃に、別のブルズ番記者から「ユウキはこのサマーリーグでヨーロッパのチームにも売り込みたいと思っているのか?」と聞かれたのだが、それはつまり、ブルズとの契約も他のNBAチームとの契約も難しいと思われていたということの表れだった。
2年目は“続編”のようにはいかない
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河村自身、NBA挑戦2年目の厳しさは誰よりもわかっていた。昨シーズン、NBA挑戦1年目にしてメンフィス・グリズリーズのツーウェイ契約を勝ち取ったが、だからといって、2年目が続編のようにツーウェイ契約でのスタートになる保証はまったくなかった。
実際、グリズリーズからは新たな契約のオファーはなく、7月1日にフリーエージェント(FA)になった。FAになってからはいくつかのチームが興味を示してきていたが、サマーリーグ前には契約には至らず、河村もサマーリーグをNBA全チームにアピールする場として考えていた。ブルズを選んだのも、サマーリーグでプレータイムをもらえそうという理由だった。
「サマーリーグなので、熱意のあるチームでプレーすること(が大事)。プレータイムがなければ、なかなかアピールもしづらいと思っていたので」と河村。
「何ごともそうですけど、やっぱり2年目って簡単じゃない。Bリーグでもそうでしたし、1年目でできたことが2年目では基本できなくなる。相手が自分のことを知っていて、どんなプレースタイルをしてくるか知っているから、大変になる。本当にタフなチャレンジになると思っているんですけれど、この大きなチャレンジを乗り越えてこそ本契約などが見えてくると思っているので、しっかりと覚悟を持って戦いたいと思っています」
「NBAでプレーできる」という自信と、目標までの道のりを「難しいチャレンジ」と受けとめる現実の理解力。その両方の感覚をバランスよく持ち合わせているからこそ、目標を見失うことなく、そこに向けて全力で努力をすることができるのだろう。

