「今になって、勿体ないことしたなぁ…と」絶好調日ハム“超当たり年ドラフト”ウラ話…半数球団が「いらない」評価の右腕が“エース格に覚醒”のナゼ 

　さて、結果的に1位・達投手を皮切りに、支配下9選手、育成4選手の大量指名。あとで聞いた話だが、この時点ですでに、栗山英樹監督に代わる「新監督」を基盤に、近未来の「安定上位」もしくは「安定王者」を目指す新たなチーム作りが始まっていたという。

　ちなみに日本ハムにしては珍しい大量退団者の中に、中田翔選手の名前があった（巨人への移籍）のも、この年の夏のことだ。

　2021年、この年のドラフトで、私の「いち推し」はJR四国・水野達稀遊撃手だった。

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　当時で171cm70kgほど、小柄な体躯から想像できないようなライナー性の長打力を発揮して、2019年の都市対抗野球で東京ドームのライトスタンドに叩き込んだ一撃は今も記憶に鮮やかだ。

　軽快・堅実なフィールディングに加え、高卒後すぐの若者にもかかわらず、あの音量爆発の応援の中、持てる能力をフルに発揮できる「図太さ」に惚れた。

2021年ドラフト3位の水野逹稀。今季はショートのレギュラーにして“恐怖の9番”としてチームの首位快走に貢献　©JIJI PRESS

　愛想笑いひとつするわけじゃない渋い受け応えもプロ向きじゃないか……と推してみても、「これからのウチは明るい性格の選手じゃないと」と尻込みされてしまったが、さすがにその一事だけで「次期監督・新庄剛志」を悟れるほどの鋭いアンテナを持ち合わせてはいなかった。

　それでも、蓋を開けてみれば「3位」という上位指名なのだから、ドラフトというやつは面白い。

不思議だった北山亘基の「8位指名」

　そして、いまだに不思議でならないのが、京都産業大・北山亘基投手の「8位指名」である。

　北山投手が日本ハムに8位指名された時、すでに6球団が「選択終了」を宣言していた。つまり、失礼を承知で申し上げれば、プロの半分の球団から「いらない」という評価を受けた投手が今、一軍ローテーションの一角として奮戦しているということになる。

　この年人材豊富だった大学生投手の中で、右の快腕にも大勢（関西国際大→巨人1位）、椋木蓮（東北福祉大→オリックス1位）などがドラフト有力候補として挙がっていたが、北山投手の実力だって、決してヒケをとるものではなかった。

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