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「今になって、勿体ないことしたなぁ…と」絶好調日ハム“超当たり年ドラフト”ウラ話…半数球団が「いらない」評価の右腕が“エース格に覚醒”のナゼ
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安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/07/21 11:01
今季、ここまで6勝を挙げ防御率は1点台と、エース級の好投を続ける日ハムの北山亘基。2021ドラフト組だが、指名順位はまさかの8位だった
ドラフトのウラ話として、これは他球団のスカウトの方が教えてくださった「内情」である。
「昔はとりあえず上位3位ぐらいまで具体的に候補を決めておいて、そこから下はいい選手の順にリストを作っておいて、上から指名していく。どこの球団も、そんな感じでしたけどね。それが最近は、たとえば7人指名すると球団として決めたら、7位までの人選をいろんなシミュレーションをして決めてしまうんですね。下位になると、どこの球団もだいたい野手の指名になりますから、思わぬ投手がたまたま指名漏れみたいになってしまうことがある。北山君の場合は、その典型じゃないですか。
ウチの場合は、3位の候補でした。でも、もっと欲しい投手が3位で指名できたので、北山君はスルーしてしまった。いくつもの球団で、そういう現象が重なったんだと思います。今になって、勿体ないことしたなぁ……と悔しがっても遅いんですけどね」
実はファームにも「2021ドラフト」の有望株が
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ちなみにファームの日ハムはイースタン・リーグで現在、4位。
その中に、不動の4番打者としてここまでリーグNo.1の12本塁打を放ち、将来のクリーンアップ候補として懸命に腕を磨く有薗直輝内野手がいる。彼もまた、何人もの選手が一軍の中枢をつとめる「2021ドラフト」の2位指名で入団した大型スラッガーである。
2016年のリーグ優勝以来、しばらく続いた低迷の中で、新庄剛志監督就任を機に着手した新たな「ファイターズ創り」が、昨年のパ・リーグ2位、そして今季の首位疾走でじわじわと実を結ぼうとしている。
必要なのは、「ここでのもうひと押し」か。
この秋の「2025ドラフト」。大学生は人材豊富で、選手たちの心も「プロ」に向いてくれているようだが、高校生は、逸材に軒並み「進学」「就職」というアゲンストの強風が吹いており、さて、指名の対象に何人が残ってくるのか。頼みの綱は、例年よりは人材が見えてきそうな社会人か。
新生・ファイターズがどのような「もうひと押し」を実践してくれるのか。その展開が今から興味深い。

