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「自分の声を聞いてもらう機会もなかった」パリ五輪を辞退した女子体操・宮田笙子が“本当に伝えたかったこと”「辛辣な言葉もあるけど…」《60分インタビュー》
posted2025/07/24 11:01
2024年の経験を経て、新たな挑戦の道を歩み始めた女子体操・宮田笙子(20歳)のインタビュー(第2回/全3回)
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Asami Enomoto
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失意の宮田の心を支えた“2人の選手”
今年4月の全日本個人総合選手権と5月のNHK杯でナショナル選手入りを果たす規定の成績を満たし、世界への道を再び歩むようになった体操の宮田笙子(順大)。彼女が「あの時、周りの声に対する怖さに負けてたら、今はなかったと思います」と語る、ターニングポイントとなった大会がある。昨年9月に開催された国民スポーツ大会だ。
パリ五輪を辞退することになり、反省、自責、失意などさまざまな感情が入り混じっていた宮田の心を体操につなぎとめる一助となったのは、ともに日の丸を背負って戦った仲間たちからの励ましのメッセージだった。
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その一人は自身と同じ鯖江高校OGである3歳上の深沢こころ(茗渓クラブ/滋賀県スポーツ協会)。もう一人は2021年世界選手権種目別平均台金メダリストの芦川うらら(日本体育大学)。2人は2023年の世界選手権で宮田とともに女子団体総合に出場し、日本にパリ五輪団体出場権をもたらしたメンバーでありながら、パリ五輪の出場を逃す悔しさを味わっていた。
宮田のパリ五輪辞退がニュースになるとすぐ、2人からメッセージが届いた。
「『大丈夫?』という感じで心配してくれたり、『まだまだやれる』と励ましてくれたり……。長い文章を書いてくれて、ポジティブになれるような言葉を送ってくれました。それって本当に、チームで一緒に頑張ってきたからこそ分かること。同じものを背負ってきた人の言葉は温かみもあり、すごく嬉しかったです」
宮田のもとに届いた“ファンからのメッセージ”
憔悴の海にいた宮田の胸に沁みたのは2人のメッセージだけではない。親しい周りの人々から寄せられた多くの温かい言葉に宮田は励まされていた。

