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「自分の声を聞いてもらう機会もなかった」パリ五輪を辞退した女子体操・宮田笙子が“本当に伝えたかったこと”「辛辣な言葉もあるけど…」《60分インタビュー》
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto
posted2025/07/24 11:01
2024年の経験を経て、新たな挑戦の道を歩み始めた女子体操・宮田笙子(20歳)のインタビュー(第2回/全3回)
「一つ一つの大会を大切に。その先に五輪がある」
現在は、これからも長く体操を続けていくことを見据えて、ケガの予防を意識することや基礎的な部分の強化を考えているという。
「日本代表トレーナーに、どういう着地をしたらどういう負荷がかかるかなど、着地姿勢について教えてもらっています。すぐに変えるのは無理なので、技の練習をしながら(指導された)細かいところを取り入れていって、それがケガの予防になってより長く体操を続けられればいいかなと思います」
より長くやりたいという思いの中には3年後の2028年に行われるロサンゼルス五輪も含まれているのだろうか。
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宮田は「あまり“ここ”というのは決めたくなくて、一つ一つの大会を大切にやりたい。一つ一つが思い出に残る試合にしていきたいと思っています」と前置きした上でこのように言う。
「今は来年、再来年の世界選手権など世界の大会にしっかり出ていくこと。その先にオリンピックの(出場)権利があると思っています。やはり、日本に必要だと思ってもらえる存在でありたいですし、そういう強い思いを持って練習に取り組んでいきたい。どこまでというのは決めていなくて、長くできればいいんじゃないかなと思っています」
体操と真摯に向き合う、現在の宮田の姿
大きなターゲットをかっちり限定するのではなく、強くなることでその先があるという考えである。
「結局、日本でトップになればまた世界で戦うわけですし、世界で戦える選手になることは大事なところです。私だけではなく、日本が上がってきたなというところを見せたい。その一員として貢献できる選手になりたい。ロサンゼルス五輪に限定して考えるのではなく、結果としてそうなれば一番という思いです」
現在、大学3年生。
「今は(パリ五輪前までの)貯金があった分で何とかしていますが、どのトレーニングを強化しなきゃいけないかを今一度見つめ直したい。そこを見つめ直せばマックスでやっていた去年と同じくらい、あるいはそれ以上に競技力を向上させられる、上を目指していけるんじゃないかと思っています」
宮田の心には真摯に体操と向き合いたいという思いがあふれている。《インタビュー第3回に続く》
(撮影=榎本麻美)

