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西武・今井達也「不安を抱きながらいつも投げていた」突然崩れる右腕→球界エースに…“脱力投法”進化の真実「時間を無駄にしたくない」チームを背負う思い 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/07/22 11:00

西武・今井達也「不安を抱きながらいつも投げていた」突然崩れる右腕→球界エースに…“脱力投法”進化の真実「時間を無駄にしたくない」チームを背負う思い<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

名門復活を牽引する西武のエース・今井達也

 自分の体と向き合い“これを続けていれば大丈夫だ”と確信できるトレーニング方法に出会った結果、不安な気持ちは徐々に消えていった。

「今は自主トレとオフシーズンにやっていることを、追い求めて毎日毎日やっています。それをもっと質高く、極めていこうという感覚ですね」

ベンチ最前列で声を上げるエースの思い

 チームの勝利を目指しマウンドに上がること、そして優勝に貢献することは念頭に置いた上で、ひとりのアスリートとして理想の姿を日々、追い求めている姿が垣間見える。

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 もう一つ、今井の成長を物語っているのがチームでの立ち位置だ。ビハインドの試合ではベンチの最前列で身を乗り出して声を上げ、攻守交代時にはダグアウト前まで出て野手を出迎える。近年、その言動からチームを牽引しようという姿勢が強く見えるようになった。

「今は自分の価値観が明確になっていて、いいものはいい、ダメなものはダメと、はっきり判断できるようになりました。たとえばチーム内でも『それはダメだよ』とはっきり言える人って少なくて、でも絶対、チームにそういう人はいなければいけないなとは思っていて。それを自分がやっているという感じです」

「どうせだったら野球を上手くなろうよ」

 たとえば昨シーズン、負けが先行する中で下を向く選手や、試合途中で諦めるような態度を見せる者もいた。しかし、今井は違った。

「みんな同じ1日24時間を過ごしていて、一日の大半をこうしてグラウンドで過ごします。『どうせだったら野球をうまくなろうよ』という気持ちです。大体1試合が3時間だとしたら、同じ3時間、野球をするなら絶対に楽しい3時間の方がいいし、うまくなろうと思ってプレーした3時間の方がいいはず。時間を無駄にしたくないという思いですね。別に失敗したとしても、その失敗からまたいろいろ勉強することもある。失敗も成功も含めて、有意義な時間を増やしたいと思っています」

 チームに何かしらの良い影響を与えたいという思いが、その言動から伝わってくる。〈つづく〉

#2に続く
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