獅子の遺伝子BACK NUMBER
「チャンスでは自分に回ってこいと…」西武・渡部聖弥が明かした打撃論が凄い「華はないかもしれないが」熟練コーチも唸らせた実力派ルーキーの素顔
posted2025/05/04 11:02
ライオンズ巻き返しの原動力となっているルーキーの渡部
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
SANKEI SHIMBUN
タイムリーヒットを放ち、喜びに沸くベンチのチームメートに向かって軽く片手を挙げる。その堂々たる姿からは十年選手の風格が漂っている。
「ルーキーっぽくない? アハハ、貫禄があるとはよく言われます。顔なのかな? 見た目のせいですかね」
そう言って笑う渡部聖弥の表情にはあどけなさが残るが、ここまでの活躍を見ればこの貫禄はうなずけるはずだ。
活躍を自己分析すると…
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4月29日現在、15試合に出場し打率は4割4分8厘、得点圏打率は5割8分3厘。開幕から一軍で出場を続け一時、故障で二軍調整を余儀なくされたが、その欠場を挟んでライオンズの新人では実に44年ぶりとなる5試合連続マルチ安打を記録した。今やクリーンアップを任され、チームの打線を牽引する存在となっている。
ここまで結果を残せている要因を自己分析してもらうと、しっかりとした口調で語り出した。
「自分がこうありたい、とイメージしてきた通りのプレーができているので、順調に来ているかなという思いはあります。特にオープン戦では真っ直ぐに差し込まれたり、変化球に泳がされたりしてヒットが出ない時期がありました。そこで一から課題を埋めていった結果が、公式戦でしっかり打てていることにつながっていると思います」
注目を集める渡部ではあるがオープン戦では一時、調子を落とす時期もあった。
仁志コーチが語る「強い体」の秘密
仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチは語る。
「聖弥は体が強いけれど、その分、硬いという特徴があります。オープン戦を戦う中で、その強さが勝ってしまって、その力に頼った動きをしてしまうところがありました。それによって動きに小さなエラーが出てきてしまう。そこで硬い部分を少しでも柔軟に使えるよう、可動域を広げる運動をトレーナーとも相談して練習に取り入れるようにしました」

