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角界復帰の可能性は「全然、ありますね」…大の里を破って相撲世界一→アメフト転向でNFL挑戦 23歳元“天才力士”の未来図「いろんなオプションがある」
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別府響Hibiki Beppu
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/07/14 11:02
日本人初のNFL選手を目指す元アマ横綱の花田秀虎。来年のトライアウトで挑戦が成就しなければ様々な未来図も描いているという
むしろ競技以上に大変だったのが、そもそもの新生活になじむことだった。
留学直後のスケジュールを花田に振り返ってもらうと、早朝5時頃に起床すると、5時半には集合してウエイトトレーニングがはじまる。そこから朝食をはさんでミーティングを1時間。その後にグラウンドに出てアメフトの練習を3時間ほど。これが終わる頃にはお昼になっている。
そこから大学の授業へと参加し、午後の3時~4時まで授業。それが終わればまた部に戻ってミーティングを経て、5時頃からは自主練がはじまる。6時頃からは翌日の授業にむけた予習とその日の課題が待っている。必死にそれをこなすと、時間はとうに深夜になっている。そのまま毎日泥のように眠りに落ち、気づけば翌朝を迎えるような生活だったという。
授業も食事も…異国の地で直面した困難
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しかも、当然ながら生活は全て英語だ。日本である程度は英会話のレッスンもしていたとはいえ、大学レベルの授業となると話が全く違う。
最初のころは受講して数週間が経ってようやく「あ、これ天文学の授業だったんだというのが分かるくらい」だったという。
また、食事にも苦戦を強いられた。
「寮なので食事は出るんですけど、結局アメリカなんでピザ、パスタ、ミートボール、サラダ、フルーツみたいなラインナップなんですよね。しかも、競技特性的に痩せてはいけないから量も食べないといけない。でも、クタクタの状態でピザって入っていかないんですよ(笑)」
花田はそこで初めて「自分は米がないとダメなんだということに気づいた」と苦笑する。結果、途中からは自炊もするようになっていったという。
聞いているだけで冷や汗の出そうなスケジュールで、本人も「きつすぎて二度と戻りたくない」と苦笑するほどの日々だった。だが、それでもそんな生活を数カ月間続けると「不思議なもので、人間って慣れる」のだそうだ。
徐々に英語に耳が慣れ、自然と自分の口からも英語が出るようになっていった。
そうなると、いつの間にか部にも大学にも友達が増え、生活での苦労が加速度的に減っていった。

