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「あれ、生理止まった?」女子バレー鍋谷友理枝が動揺した“がんの疑い”「日本代表を外されるのが怖かった…」手術を決断できた夫の言葉とは?

posted2025/07/10 11:05

 
「あれ、生理止まった?」女子バレー鍋谷友理枝が動揺した“がんの疑い”「日本代表を外されるのが怖かった…」手術を決断できた夫の言葉とは?<Number Web> photograph by queenseis

昨シーズン限りで現役を引退した鍋谷友理枝。子宮の病気や18歳の時に患ったバセドウ病のことまで、赤裸々に明かしたのには理由があった

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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元バレーボール女子日本代表・鍋谷友理枝さん(31歳)のインタビュー最終回。18歳でバセドウ病を発症しながらプレーを続けてきた鍋谷さんをさらなる悲劇が襲う。2019年春、ボールが顔面に直撃し、以降はゴーグル着用が必須となった。そして、年末には子宮の病気が発覚。壮絶な経験の数々をなぜ、今メディアに明かそうと思ったのか【NumberWebインタビュー全3回/第1回第2回も公開中】

 あれ、生理止まった?

 年の瀬が迫った2019年12月、鍋谷友理枝は自身の身体に異変を感じていた。

 プロ1年目の2012年からバセドウ病の投薬治療を続けてきたが、生理の周期が遅れることはなかった。だが、気づけば2カ月ほど無月経が続いた。気になった鍋谷は婦人科を受診する。

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『検査結果でお話ししたいことがあるので、すぐに病院へ来て下さい』

 検査の結果、子宮頸部高度異形成と診断された。

「母に伝えると、すぐに飛んで来てくれて付き添ってくれました。お医者さんから『がんの疑いがあります』と言われた時は、頭が真っ白になりました」

「日本代表を外されるのが怖かった」

 鍋谷が診断された「子宮頸部高度異形成」は、軽度から3つの段階が分かれ、高度は子宮頸がんの一歩手前の状態を指す。早期に治療すれば完治は十分可能だが、疑いとはいえ、“がん”の響きに動揺しない人はおそらくいない。不安に苛まれる鍋谷を救ったのは、当時、共に東京五輪を目指した中田久美監督だった。

 病名に恐怖を抱きながら、それ以上に「日本代表を外されることが怖かった」。鍋谷はそう振り返る。しかし、治療には手術を要するため、隠し通すことはできない。所属チームと日本代表のトレーナーにも病状を報告すると、中田監督は誰よりも迅速に「心配しなくていいから」と病院を紹介してくれたという。

 幸い、早期発見であったこともあって患部を切る円錐切除術ではなく、レーザー照射で対処できることがわかった。入院の必要はなく、日帰りで治療ができる。年が明けてまもなく日本代表の合宿が始まったが、休日を利用して手術に踏み切ることができた。

【次ページ】 鍋谷さんを救った夫の言葉

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