大谷翔平の舞台裏:ドジャース異聞BACK NUMBER
佐々木朗希に新たな課題「(肉体強化は)全部だね」ドジャースのコーチが明かした…「憶測ばかりが飛び交って…」なぜ復帰は二転三転している?
text by

斎藤庸裕Nobuhiro Saito
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/09 11:02
試合前にキャッチボールを行う佐々木朗希
ロバーツ監督が使った“たとえ話”
監督やコーチ陣をはじめ、首脳陣は今季中の復帰を期待しているものの、先発ローテーションの一角で安定して回る投手として、計算はしていないとみられる。ロバーツ監督の言葉がそれを物語る。
「もちろん、復帰することを期待しているが、彼なしで(今後の)プランを立てていくこと、それはフェアな考えだ」
7月4日には、こうも言った。「長い間投げていないし、段階的に(試合で投げられる状態まで)作り上げていくことが必要になる。例えば春季キャンプで、まだ(ブルペンの)マウンドに上がっていないことを考えれば、(復帰まで)6、7週間くらいかかるのが目安になる」。
ADVERTISEMENT
2月中旬頃から始まる春キャンプでは通常、各球団の投手は早い段階でブルペン入りし、2月下旬からオープン戦に登板する。最初は1~2イニングで調整し、徐々に球数と強度を上げながら、5~6回を投げられる体力づくりを行う。つまり、現状の佐々木はその前段階にいるということ。だとすれば、早くても8月末、通常のプロセスを踏んでいくなら9月以降まで離脱が長引くことになる。
コーチが語る佐々木の肉体強化「全部だね」
一方で、再びリハビリ過程で後退するようなことがあれば、今季中の復帰は極めて難しくなる。佐々木の強化トレーニングで状態をチェックしている球団トレーナーの1人で、ストレングス&コンディショニング担当のトラビス・スミスコーチは6月中旬、佐々木の今後について「彼は大丈夫だ。シーズン中に、また戻ってこれる」と断言していた。
一方で、下半身を中心に強化しているのかとの問いには「(上半身も含めて)全部だね」とも明かした。肩の不安を解消することはもちろんだが、今回の離脱を機に、体幹強化を含めて体を作り直しているとみられる。
海外選手では25年シーズンのトッププロスペクト(有望株)として、伝統球団ドジャースの門をたたいた佐々木だったが、育成方針や今後の起用などが不明瞭で、将来性が見えてこない問題を指摘する声もある。佐々木自身は、IL入りした直後の5月14日、「しっかりもらった時間で完治させて、パフォーマンスも上げて、戻れるように頑張りたい」と話して以降、現状を説明する機会は設けられていない。一時は、6月末の復帰を目指しているとみられていたが、復帰への見通しは二転三転し、臆測ばかりが飛び交っている。

